反転授業に花まるにプログラミングだぁ?

良く言えば矢継ぎ早に、ぶっちゃけ手を広げ過ぎだと思う教育施策を打ってくる武雄市ですが…。
まぁ、ほんとに子供にとってプラスになるのかもわからない状態のものを、よくもまぁホイホイと始められるなぁ、というのが正直な感想。

反転教育

「反転教育やれば、未来はバラ色」的な論調が見られるんですけど、本当にそうなんですかね?
自宅で予習してから学校での授業に取り組むという反転授業に馴染める子供もいれば、従来からの授業携帯の方が馴染む子もいるでしょう。(もしかすると、そのどちらにも合わない子もいるのかもしれない。)

反転授業自体、基礎学力やそれなりの学習習慣が身についているほうが効果が高いとか、反転授業の取り組みが早かったアメリカでは学力の格差が大きくなったという話もあるようですから、いいこと尽くめではないような感じなのですが…。

なお「反転授業」はモチベーションのある生徒にしか使えません。なぜなら理解の土台になる、授業部分の視聴を生徒の自主性に任せてしまうので、怠けて動画を視聴しない生徒が続出するからです。

[From カリフォルニアの高校で、一部「反転授業」が導入された背景 生徒間の学力格差をワープスピードで拡大する、残酷なツール - Market Hack]

日本でも、早くから反転授業に取り組んでいる学校や先生たちもいるようですし、そういった先例やアメリカで問題として指摘されている点をうまく取り込んで、進められれば良いのでしょうけど、多分「武雄式反転授業」ってのにしたいという意向(誰の?)でしょうから、イロイロと難しいかもしれません。

花まる

コレは、前にも書いているとおりで、

自己啓発セミナー、ですか、これってもしかして、というのが正直な感想。

[From 武雄市の公教育改革、あなたは「花まる」あげますか? #たけお問題 - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

というのが、偽らざる感想だし、これがホントに学力向上につながるとは思えないので、成功はしないだろうなぁと。
そもそも、塾自体のコースでも高学年向けは弱い、というような話もあるようなので、結局破綻するんじゃないですかね。授業形態自体合わない子供も出てくるでしょうから、そのあたりのフォローとかちゃんと出来るのかも心配です。


プログラミング

で、今日発表された小学一年生向けに行うプログラミング教育、と…。

この度、佐賀県武雄市(佐賀県武雄市/市長 樋渡 啓祐)、株式会社ディー・エヌ・エー(東京都渋谷区/代表取締役社長兼CEO 守安 功、以下DeNA)、東洋大学(東京都文京区/学長 竹村 牧男)は、初等教育におけるプログラミング教育について、共同して実証研究を行うこととなりました。

[From 武雄市×DeNA×東洋大学の3者による産学官連携・実証研究プロジェクトを開始~佐賀県武雄市の小学校1年生向けに2014年10月よりプログラミング教育を導入~ | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】]

とにかく、基礎学力となる「読む」「書く」を身につけさせた上でないと、プログラミング学習なんて無理なんじゃないかと思うんですけどねぇ…。

にしてもだ、このプロジェクトの音頭を取っている東洋大学の松原教授、記者会見の席で↓のような発言をされていたのだそうで…。

プロジェクトリーダーがしょっぱなからこんなことを言ってて大丈夫なの?失敗臭しか漂ってこないし、子供たちを実験台にしているとしか思えないんですけどね。

しかも、経済学ご専門の松原教授が教育分野に出張ってきているのも、あまりよい感じはしない。東洋大学自体は文学部の中に教育学科がありますし、総合情報学部もあるので、そっちが全面に出てくるのであれば、まだ納得できなくもないんですけど、そうではないみたいですし…。

三並行で、成り立つのか?

それにしても、一つの自治体の中の初等教育で、同じ時期に三つの異なる方向性のプロジェクトが走るのって、異様なことだと思うんですよ。
プログラミングに関しては、今年度内に完結するもののようですけど、そもそも半年という期間( 2014 年 10 月〜)で 8 回しか行われないのに、

東洋大学は、「筋道を立てて考える力(論理的思考力)」「構成等を考える想像力」「空間認識や距離感覚等の立体認識力」の成長に焦点を当て、プログラミング教育の有用性について分析を行っていきます。

[From 武雄市×DeNA×東洋大学の3者による産学官連携・実証研究プロジェクトを開始~佐賀県武雄市の小学校1年生向けに2014年10月よりプログラミング教育を導入~ | 株式会社ディー・エヌ・エー【DeNA】]

という成果は出るとは思えないですし、下手すりゃ玉虫色の報告書が出来上がっておしまいで、、子供たちには何も残らないんじゃないでしょうか?

効果をどう測るのかについて問われた松原教授は

と、定量的な成果評価はお考えでない(というか評価手法を持ち合わせていない?)ような回答をなさったそうです…。(マジ、心配だわ。)

来年度になれば、花まるメソッドによる授業を行う学校が増えることは既定路線のようですので、同じ学校内で花まるメソッドと反転授業が行われるようになる状況も発生するでしょうから、現場の負担だけではなく児童とその保護者への負担も大きくなるんだろうことは、容易に想像出来るわけです。

以前のも書いたような気がするのですが、教育の成果は短期間に目に見えて出てくるものでなくて、10 年後、20 年後といったスパンで考えないといけないにもかかわらず、「明るい癒着」でホイホイと手を組んでさっさと事業を始めてしまうスタイルは、教育という分野にはあまりのもそぐわない手法ではないでしょうか?
#「ゆとり教育」の見直しと舵の切り直しのも時間がかかったわけで…。

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