図書館資料の除籍数を、さらに調べてみた #takeolibrary

前のエントリーで書いたように、除籍数という数字に注目して、図書館の状況を調べてみているわけですが、

武雄の除籍リストのことで図書館に興味を持たれた方で、自分の住んでるトコの図書館の状況はどうなんだろうと思った時に調べる足がかりとしては、客観的に見れる数字を追いかけてみる、というのは良いかもしれません。

[From 図書館で資料の除籍数を調べてみました #takeolibrary - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

ちょっと数字が足りなと思ったので、さらに 2008 年版、2009 年版、 2010 年版の数字を拾ってみました。

まずは、武雄市図書館。
2009 年度までは、それほど除籍数はなかったんですね。と考えると、話題の除籍資料リストに載っている資料数が、如何に多いかというのがわかりますね。

年度奉仕人口(千人)蔵書冊数(千冊)開架数(千冊)受入冊数除籍冊数
2007年度521559710,217130
2008年度52162987,926227
2009年度52165778,96780
2010年度52179728,6741,286
2011年度511881358,8131,814
2012年度5120619017,6800

次に、文京区。
2009 年度と 2010 年度の間で蔵書冊通のつじつまが合ってないような気がするんですが、その点を除けば、まぁ順調に蔵書冊数か開架冊数も増えているのがわかります。

年度奉仕人口(千人)蔵書冊数(千冊)開架数(千冊)受入冊数除籍冊数
2007年度184993-55,08937,081
2008年度1861,02179550,60628,041
2009年度1881,04581254,02931,511
2010年度1901,03784449,79120,750
2011年度1921,06385753,54437,967
2012年度1931,08986654,21228,082

次、岡崎市。
2008 年度に大きく受入数が増えているのは、図書館交流プラザりぶら開館に合わせた岡崎市中央図書館移転のタイミングで蔵書を大幅に増やしたからと、と考えればよさそうです。

年度奉仕人口(千人)蔵書冊数(千冊)開架数(千冊)受入冊数除籍冊数
2007年度36061724040,63836,397
2008年度363768346162,57113,281
2009年度36581253745,0057,408
2010年度36683955535,42910,006
2011年度36685756231,94510,371
2012年度36885555424,26515,315

そして、松原市。
やっぱり、ここ数年の傾向として、蔵書冊数の減少が起きていたんですね。特に 2011 → 2012 年度の間で開架数が激減しているのは、分館を閉鎖したことによるものなのでしょう。となると図書館サービスとしては、大きく劣化したものになっているのだろう、というのが数字からも想像出来てしまうという状況ですね。

年度奉仕人口(千人)蔵書冊数(千冊)開架数(千冊)受入冊数除籍冊数
2007年度12750634015,5829,984
2008年度12648434214,20536,217
2009年度12649134216,3849,631
2010年度12548134015,36826,231
2011年度12447333114,66321,693
2012年度1244578515,41731,667

日本の図書館 統計と名簿 のデータ掲載基準はどうなってるの?

さて、この表の元となっているのは、前のエントリーでも書いたとおり、日本図書館協会発行の日本の図書館 統計と名簿(日本の図書館 統計と名簿)に記載されている数字。
4 月 1 日を基準にした前年度分なので、出たばかりの 2013 年版は 2013 年 4 月 1 日基準に 2012 年度の数字、ということになります。

ちなみに、表の各項目の定義は、次の通り。( 2008 年版の凡例のページに記載されていたもの。他の版もこれに準じています。)

  • 奉仕人口
    • 2007 年 3 月 31 日現在の住民基本台帳人口。『全国市町村要覧』平成19年版(第一法規)による。単位は千人で百位を四捨五入。町村については獣医を四捨五入し、百位まで示した。
  • 蔵書冊数
    • 2008 年 3 月 31 日現在の図書総冊数(単位 千冊)。開架図書冊数を内数で挙げた。
  • 受入図書冊数
    • 2007 年度内に受け入れた図書(購入・寄贈など)の総冊数。購入図書を内数で挙げた。
  • 年間除籍冊数
    • 2007 年度内に破損、亡失、破棄、その他の理由で除籍した冊数。

ところで、件の除籍資料リストの内容は、いつのもの?

話題になっている除籍資料リストに挙がっていた雑誌類が、去年の5月時点で排架されているのを見た、という人が…。


さて、これはどういうことだ?
この話の通りであれば、2012 年度の除籍数 0 という数字とは整合するのだけど、今度は除籍資料リスト自体は「いつ作られ」、「リスト記載の資料はいつ除籍処理がなされたのか」という疑問が出てくることになるわけですが…。

ただ、除籍数 0 として日本図書館協会に対して回答した形跡が、情報公開請求で明らかになっている件名簿 【PDF】中では確認出来ないという状況なので、日本の図書館 統計と名簿の2013年版に載っている数字に関しても「誰が答えたの?」という点で疑念が残るものにはなっている点も注意する必要があるでしょう。

にしても、武雄市の各種の問題を見ていると、出てきた書類や数字と喧伝されいる数字が食い違っていることは当然のこととして考える必要があるので、情報公開請求で出てきた書類ですら疑ってかかる必要があるという、なんとも困った状況なので、何が正しいのかを見極めようとすると、えらく労力がかかるという…。
行政サービス的に、ほんとにいいのかそれ、ってのはなぁ。

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