教育レベルの向上は、直ちに移住促進に繋がるものではない、と思うんだが。 #たけお問題

なりふり構わぬ選挙運動を展開して再選した某市長、再選後のインタビューの中で、

教育を通じ、メシが食える、魅力的な大人を育てたい。一方で子どもの数が減っている。子どもたちが地域にいないと活力が出ない。魅力的なカリキュラムを導入したモデル小学校をつくり、子どもと保護者に移住してもらい、過疎対策にもする。

[From 新市長に聞く 武雄市・樋渡啓祐氏/佐賀新聞ニュース/The Saga Shimbun :佐賀のニュース]

と語ったそうなのですが、これで思い出したことがあった…。

引用元は、文京区立図書館サービス向上検討委員会の第2回の時の議事録。
ピンポイントで切り取ってしまうと、話の流れが判りにくくなってしまうので、ちょっと引用量が増えてしまいましたが、話の流れとしては、図書館におけるボランティア活動という話題の中で出てきたもの。この回は、たまたま自分も傍聴していたこともあったので、覚えていたというのもあるんですが…。


○植松委員長:何かほかにございますか。多様な学習機会というのも、テーマ自体がちょっと難しいかもしれませんね。
それでは、6番の「ボランティア活動等の促進」ということでございます。これはお一方しかご意見がございませんけれど、ボランティアと図書館、あるいはボランティア活動と図書館ということですが、いかがでしょうか。

○串田委員:これは谷根千をヒントにしました。森まゆみさんが、自分の町を愛しましょうということで、私も湯島で去年まで町おこしの会に所属していました。要するに自分の町に愛着を持ってもらいたい。自分の町はこういう人が住んでいたんだよ、自分の町はこういう町だったんだよと自慢できるような町づくりをしたい。
それで鷹田委員にお聞ききしたいのですけど、現状はどうなんでしょうか。

○鷹田委員:そういう活動をしたらということ?

○串田委員:地域に密着するボランティア活動のことですが・・・

○鷹田委員:今、文京区は、そういう場じゃなくなってきているんですよ。例えば保育園から来て、幼稚園、小学校、中学まで行って、出ていくんです。そういう人たちがふえている。ですから、うちは子どもたちが多いと役所の方はおっしゃいますけど、腰かけなんです。私立が高いから。区立が割と平均していいでしょう。だから、まずマンションの方は、ああ、中学生になったらいなくなるなとなったら、ちゃんといなくなるんです。腰かけに使われているという感じなんです。今まで小学校や何か一生懸命やっていたんですけど、何だ、6年しかいないじゃないか、そういう気持ちなんですよ。ですから、どうしたらいいんでしょうね。要するに高校生が少ないんです。小学校と中学校の生徒はいるんですけど、高校生になるといなくなる。

○串田委員:湯島の場合、小・中学校でラジオ体操をやっているんですよ。

○鷹田委員:串田さんのように町を愛そうなんて人は珍しいですね。利用するのは非常に利用されています。文京区はいい区だと言われています。言っていて、いなくなっちゃうんです。町会組織といいながら、マンションに腰かけの人たちを何とか引き込もうと思って、こどもひろばとかいろんなことをやっていますけど、ちゃんと協力してくれるんです。だけど、いなくなります。それだけ文京区がいいのかなと、そういうふうに思って。ここで生まれてここで死のうなんていう人はほんの一部になりました。町会の中でそんなことばかり言って申しわけないんですけどね。なるべくなら努力していきます。一生懸命、引き込むように。

[From 【PDF】第2回文京区立図書館サービス向上検討委員会会議録]

引用した文章の真ん中あたり、「今、文京区は、そういう場じゃなくなってきているんですよ。」からはじまる辺りに注目していただきたい。

文京区は教育水準が高い、と言われていて、子育て世代に人気があるところではあるのだけど、保育園入園のタイミングで転入して来た子供も、中学卒業と同時にいなくなってしまうということが、実際に起きているんのだとか…。裏を返せば、高校進学のタイミングで文京区から転出していってしまう家族が多い、と言えるわけで、「教育レベルが高い」ことが、必ずしも人を地域に繋ぎ止めるための役には立っていないことを示しているのではないかと思うのです。
ましてや、小学校だけ教育レベルが高くても、その後の受け皿となる場所がなければ、子供に対する教育に熱心な(意識の高いw)家庭ほど、中学進学のタイミングであっさりと転出していくでしょうから、高まるのは人の流動性だけだったりするかもしれません。
勿論、教育の受け皿も必要ですが、親の生活基盤を安定させるための受け皿も必要なわけで、子供を小学校に通わせる6年間、安定して生活が維持できるような環境にあるのかどうかとか、医療面はどうなのか、というのも大きく影響するでしょう。当然、子供の教育のためですから、いろいろと下調べはするでしょう。となると、よほどの教育以外の面も含めたアドバンテージを示せない限り、武雄に引っ越そう、という話にはならないんじゃないかと。
#もし、父親だけ単身赴任で頑張る、という選択をする家庭が出てきたとしても、そういう家庭こそ何かあったら、あっさり転出しそうだし…。
#あたりまえだけど、ツタバ図書館がアドバンテージになることもないでしょうね。

いずれにしろ、セクハラ事件を隠蔽するような人物を平気で教育関係の要職に据えたり、「ひまじんうんこ」発言を謝ろうともしないような首長に、「魅力的な大人を育てたい」と上から目線で語って欲しくないし、教育にも関わって欲しくない、ってのが本音ですが、なにか?

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