武雄市の公教育改革、あなたは「花まる」あげますか? #たけお問題

選挙前にオフレコでと言っていたのは、「武雄市は公教育改革をやります」ことだったようですね。

まず、わざわざ「4月17日に発表する」としているのは、市長選の争点にしたくない、でないと選挙対策上問題となると認識しているからなのではないか、ということ。そのような内容を、それの影響を一番受ける武雄市民の与り知らぬ場所で公表した上で、オフレコとすることを求めたというのは、やはり選挙戦への影響を考えたからではないでしょうか。(当選したら、あとは勝手にやらせてもらうぞ宣言?)

[From 都合が悪いから、オフレコですか? #たけお問題 #武雄市 - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

図書館の時と同様で、東京で発表して報道されたことも含めて既成事実化した上で、事を進めるという、市民軽視の姿勢は相変わらずのようです。

で、話題になっているんで、その発表に関連したニュース映像見ました、が…。

「官民一体型小学校創設へ、塾のノウハウ導入」 News i - TBSの動画ニュースサイト

「花まる学習会の民のノウハウを大胆に取り入れることで、官民一体の学校を武雄市から創設する」(佐賀・武雄市 樋渡啓祐市長)

[From 「官民一体型小学校創設へ、塾のノウハウ導入」 News i - TBSの動画ニュースサイト]

自己啓発セミナー、ですか、これってもしかして、というのが正直な感想。

こんな授業を小学校でやるってんだったら、全力で回避すること考えますね、自分だったら。そもそも、うちの子供達には間違いなく合わないと思うし…。

「メシの食える人」ってナニよ?

はっきり言って今回の騒動で名前が出てくるまで知らなかったよ、花まる学習会。
うちも長男(小5)を塾に通わせているけど、その塾を選ぶときの候補として名前すら上がらなかったもんなぁ。(うちの教育方針的にみて、観測範囲にすら入らなかったわけだが。w)

理念に掲げられている『子どもたちが本当に幸せになるためには、将来「魅力的な人、メシが食える大人」になることが大切だと考えています。』という一文があるのですけど、いやだからそれがナニ、って感じなんですけど?

自分自身は工業高校卒業と同時に就職した口なので「学歴がなんだ~」と言う人間なのだけど、まぁそれなりにメシの食える大人にはなれたと思ってる。(ただし、学生時代にめちゃくちゃ勉強した記憶はない。)
でも、世の中的には自分と同じような生き方は、子供達にさせられなくなったよなぁ、というのも感じるんだよね。特段、この学校に行って欲しいといった強い希望はないのだけど、「文章を読んだり書いたり、計算したりという基本的なことが身についてないと、将来自分がやりたいと思ったことが見つかっても、苦労するよ。だから、自分のためにベンキョウしろよ」ということは、時々子供たちには話してはいる。まぁ、どんだけ理解してくれているかはわからんけど、将来の選択肢を多くするためにも、基礎的学力はあったほうがねぇ…。

勿論、高校行くにしても、大学に行くことになったとしても、できるだけ良いところに行ってほしいというのが親心だし、そのための環境を作るためには頑張るさ。


選ぶ自由と、受けさせる義務

今の形式の学校の授業でも、ついていけない子供が出るというのに、この形式の授業だと更についていけない、学校に行くのすら嫌だと言い出す子供が出てくるのは、容易に想像出来てしまうのですけど、そういった点に配慮はあるんでしょうかねぇ。「公立」であるということは、出来うる限り公平に教育の機会を提供することも、ひとつの目的ではないのか、と思うんですが。
「塾」なら、授業を体験させてみて子供に合わなければ、そこに行かずに子供に合う別のところを探す、とかそもそも塾に行かせないという選択が出来るし、小学校に通っている事自体には、大きく影響することはないでしょう。
しかし、花まる学習会形式の授業を公立小学校でやられてしまったとき、万が一子供の性格や個性にその形式が合わなかったりすると、その学校の通学区もしくは自治体から離れる、という選択肢しか選びようがないわけですよ。授業形式が嫌だから「通わせない」という選択肢は最初から存在しない。私立という手はあるだろ、というかもしれなけど、それだってそうそう安易に選べるものでもないでしょう。
だからこそ、慎重に事を進めるべきだし、実際に学校に子供を通わせることになる保護者に理解を求めることを時間をかけてやるべきなんじゃないかと思うわけですよ。あの市長のやってることが「オレの考えた最強の公教育を受けさせてやる。ありがたく思え」という風にしか見えない時点で、かなり危険な香りがするというのが、正直なところなのです。

個人的には、始まる前から「落第点だろ」という印象しかない、この公教育改革(改悪?)、願わくばアドバルーンあげただけで終わって欲しい。始まってしまったら、最大の被害者になってしまうのは子供たちです。そして、その善し悪しは10年20年といった長いスパンで見ても、非常に判りづらいいう点も問題でしょう。
まぁね、花まる学習会に心酔してる「絶対、武雄にいって花まる学園に入れる」って人に関しては、どうぞご自由にって感じではありますし、それが子供の人生を大きく左右しかねない決断かもしれないことは、重々承知の上なんでしょうけど、その判断が誤りだったとした時にそう簡単に取り返せるものではないことは考えておいて欲しいです。

そして、あの市長は、おそらく周囲の声なんぞ無視して突っ走るであろうことは十分考えられるし、更にそれを他の自治体に広げようと画策することは容易に予想できますし、それに乗っかろうとする樋渡礼賛地方議員が自治体職員も沢山出てくる可能性も考えておく必要があるでしょう。
CCCに売り渡してしまったも同然の図書館にしても、他の自治体からの集金マシーンと化している自治体運営型通販ドロップシッピングサイトにしても、それを唯一無二の選択肢にように進めてしまった(進められようとしている)自治体が、幾つもあることを考えると、自分の住んでいる地域の動きには注意を払っておく必要があるのではないかと思うわけです。

で、やっぱり移住の切り札にはならないよ

この、公教育改革が移住促進につながるか、というと前のエントリーに書いたとおりで

勿論、教育の受け皿も必要ですが、親の生活基盤を安定させるための受け皿も必要なわけで、子供を小学校に通わせる6年間、安定して生活が維持できるような環境にあるのかどうかとか、医療面はどうなのか、というのも大きく影響するでしょう。当然、子供の教育のためですから、いろいろと下調べはするでしょう。となると、よほどの教育以外の面も含めたアドバンテージを示せない限り、武雄に引っ越そう、という話にはならないんじゃないかと。

[From 教育レベルの向上は、直ちに移住促進に繋がるものではない、と思うんだが。 #たけお問題 - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

生活基盤を安定させられる環境がないんだったら、花まる学習会に陶酔してしまっている人でもかなり躊躇するんじゃなかろうか?それこそ武雄が「メシの食える」環境でない限りは…。
誰かが「武雄に引っ越すぐらいなら、そもそもの教育レベルの高い地域に引っ越して、そこで塾として花まるに通わせればいいじゃん」的なことをつぶやいていたのを見た記憶あるんだけど、確かにそのとおりだと思ったしなぁ。

そして、脇の甘さはお約束?

で、花まる学習会が関わる小学校に関しては「武雄花まる学園◯◯小学校」という通称で呼ばれるらしんだけど、「花まる学園」でググると、とても香ばしい「関係者、ナニやってんの!?ちゃんと考えてるの?◯◯なの!!」という検索結果になるという…。(興味のある方は、まぁ試してみるといいよ。)

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