「図書館を変えるなら CCC に頼めば…」は、行政の思考停止の証だと思うゾ

武雄市図書館以降、「図書館を変えるなら、CCCに」というのが、選択肢として唯一のようになっているのが、個人的にはとても気がかり。
「カフェやツタヤとしての機能」は評判が良いようですが、施設本来の機能である図書館部分については「書架が乱れていて、蔵書を探し当てるのに一苦労する」とか「職員が常駐していてしかるべきレファレンスカウンターが無人」とか「市町村間での協定に基づいて所蔵すべき雑誌の扱いが怪しい」とかとか、色々と問題点も指摘されているようです。

「図書館としてどうなのか」については先月末に行われた図書館総合展で行われたフォーラムの全文書き起こしがあるので、それが参考になると思います。

また、つい最近、実際に図書館を訪れた際の感想をブログで公開された方がいらっしゃいますが、こちらも武雄市図書館の現状を把握するのに役立ちますね。

図書館の本は、並べ方もひどいです。低学年からヤングアダルト向きまでが、ごちゃまぜに並んでいます。御いっしょに見学した司書さんが「私には本を探すことができない。この図書館では働けない」と言ってました。 ここの職員も大変だと思います。
 
さらに驚いたのは子どものコーナー。細長いスペースがあるだけの夢も愛情も感じられない場所になっています。そのスペースの反対側にテレビが設置されていました。
本を読むことを推奨するべき図書館でなぜ?

[From 図書館関連記事の裏側・・百聞は一見にしかず - 草の実・草だより - Yahoo!ブログ]

んでもって、今のところ、CCC が参画することがわかっているのは、以下の三市。

レンタル大手「TSUTAYA」を運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と宮城県多賀城市は11日、同市が新設する図書館の設計で連携すると発表した。CCCが公立図書館に関わるのは運営を受託している佐賀県武雄市に次いで2例目。

[From 朝日新聞デジタル:「ツタヤ図書館」宮城に来夏オープン 併設レストランも - ニュース特集]

山口県周南市は18日、建て替え予定のJR徳山駅ビルに、レンタル大手ツタヤを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の協力を得て図書館をつくる、と発表した。同社が運営し、「ツタヤ図書館」として人気を集める佐賀県の武雄市図書館の実績を踏まえ、市が協力を要請した。

[From ツタヤの「知恵」を図書館に 山口・周南市、協力を要請:朝日新聞デジタル]

神奈川県海老名市は21日、市立図書館を運営する指定管理者にレンタル大手「ツタヤ」を展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)と「図書館流通センター」の共同事業体を選定する、と発表した。CCCが公立図書館を運営するのは佐賀県武雄市に次いで全国2例目。

[From 「ツタヤ」図書館、神奈川・海老名にも 全国2例目:朝日新聞デジタル]

CCC の担当者は「街にあった図書館を」とか言っているようですが、ホントにそんなことが出来るとは、個人的には全然思っていません。
少なくとも、プレス発表とともに公開されているパース図を見る限りでは、どこも同じようなコンセプトに基づいて描かれたようにしか見えませんもの。

特に、311で被害を受けている多賀城市。
建物自体から新築なわけですが、公開されているパース図では3階までの吹き抜けなうえに、壁面部分にキャットウォーク状のの通路を配置してそこに高層書架を配置するような絵が出てきている時点で、「街にあった」なんてことは全然考慮ないよね〜、と。今後数年間は、震度5に近い余震が来るかもしれない、と言われている地域ですよ。にも関わらず、そのことはこれっぽっちも配慮していないようなパーズが出てくる時点で、地域のことなど何も考えていない証拠といっても言い過ぎではないでしょう。

多賀城市の件は、CCC に図書館運営を任せることについての問題点は、下記に引用したツイートからリンクされているPDFによくまとまっているので、目を通すことをお薦めします。

にしても、「図書館を改装するときに民間活力を活かしたい」、「図書館にカフェ併設すれば…」という発想になるのはまぁいいとしても、「だったら、CCC に頼めば…」的な、ヒジョーに安易な流れになってしまっているのは何故なんでしょう。そんな武雄が成功しているようにみえるんですかねぇ…。
成功しているようにみえる武雄ですら、いろんな問題点が指摘されているにもかかわらず、その問題点を敢て見ないようにしてまで、CCC を随意で選ぶというのは、行政としては思考停止に陥っているんじゃないでしょうかね。
#実績のあるトコロに頼めば手っ取り早い、ってのはあるのかもしれませんが、それでも唯一無二なわけでもなく…。

あぁ、カフェ付きの公共図書館を Google マップにプロットしてくれている人がいるので、その人が作ったマップも参考までに紹介しておきますね。
コレを見れると、カフェ付き図書館が、CCC にしか出来ないことではないのが、良く判るんじゃないでしょうか…。(そして、武雄が一番乗りでもない。)

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