文京区議会議員の視察関連の情報公開請求をしようと色々と調べている時に、議会図書室というのが存在していることに気がついた。
(目的及び設置)
第一条 地方自治法第百条第十九項の規定に基づき文京区議会に図書室を設置する。
[From 文京区 文京区議会図書室管理規程]
最初、公開されている管理規定をよく読んでいなかったのだけど、これって地方自治法で設置が義務付けられているのだそうだ。(と、 Twitter 上でも、ある方に教えていただいたりしました。)
確かに、地方自治法の第百条に、そのあたりのことが書いてありました。
○17 政府は、都道府県の議会に官報及び政府の刊行物を、市町村の議会に官報及び市町村に特に関係があると認める政府の刊行物を送付しなければならない。
○18 都道府県は、当該都道府県の区域内の市町村の議会及び他の都道府県の議会に、公報及び適当と認める刊行物を送付しなければならない。
○19 議会は、議員の調査研究に資するため、図書室を附置し前二項の規定により送付を受けた官報、公報及び刊行物を保管して置かなければならない。
○20 前項の図書室は、一般にこれを利用させることができる。
[From 地方自治法]
ということで、文京区議会図書室の状況がどうなっているのか、というのも調べてみることに。
なにしろ、
まあ、当たり前の話といえば、当たり前ですが、私は議員になるまで知りませんでした!
広報不足というか、あえて広報をしないできているのか・・・
[From 議会図書室 - 文京区議会議員 海津敦子のブログ - Yahoo!ブログ]
ということですから…。
情報公開の請求内容とその結果

さて、公開請求の申請内容は、こんな感じ。
- 利用者数の推移(議員、区職員、一般利用者それぞれが判るものが望ましい)
- 蔵書貸出数の推移(議員、区職員、一般利用者それぞれが判るものが望ましい)
- 蔵書数の推移
- 蔵書購入予算と予算執行額の推移
これらの項目について、平成 23 〜 25 年度のものという指定をしたのですが、早速担当部署の方から電話連絡があり、その中で次のような開示内容になるということがわかりました。
- 利用者数の推移(議員、区職員、一般利用者それぞれが判るものが望ましい)
- 統計的な数値として、記録しているものは、存在しない。
- 一般利用者については、利用申込書の提出が必須となっているため、その申込書については開示可能。(利用者の住所等の記載があるので、その部分は非開示)
- 議員、区職員の利用については、利用記録を取得していない。
- 蔵書貸出数の推移(議員、区職員、一般利用者それぞれが判るものが望ましい)
- 統計的な数値として、記録しているものは、存在しない。
- 貸出管理簿については、平成 24 年 7 月頃からのものがあるため、それの開示は可能。
- 蔵書数の推移
- 統計的な数値として、記録しているものは、存在しない。
- Excel ベースでの蔵書管理をしており、そのデータを開示することは可能。
- ちなみに、蔵書総数は 5,000 冊ほど。
- 蔵書購入予算と予算執行額の推移
- 区議会予算の中で言及されており、それ自体は Web サイトでも公開している。
- 閲覧用に用意をしておく。
用意された文書類の閲覧はこれからですが、知りたいことはひと通り教えていただけている、という感じかなぁ。利用者数とか貸出数を統計的に把握できるものはない、というのは意外だったし、蔵書管理もリストの Excel 化レベルで止まってたというのも、驚きといえば驚きでしたけどね…。
本音を言えば、利用状況を推し量る指標として使えそうな、利用者数や蔵書貸出数のカウントをしていない、というのはちょっと残念な感じがしました。
開示された文書類の閲覧に行った時に、時間が取れるようであれば、議会図書館も覗いてこようかと思っていますので、その時にはまた何かしら書きたいと思います。
他の自治体は?
地方自治法で設置が義務付けられていますから、当然他の自治体でも議会図書室はあります。全部あるか調べたわけではないけど、"議会図書室" でググると結構件数引っかかってきますので、自治体名と組み合わせてググれば、存在するかしないかは割と簡単に判るんじゃないでしょうか。
また、自治体によっては、図書館と議会図書館の間で相互貸出を行えるようにしているところもあるようです。
例えば、川崎市。
この要綱は、川崎市立図書館と川崎市議会図書室との相互貸借について必要な事項を定めるものとする。
[From 川崎市:川崎市立図書館と川崎市議会図書室との相互貸借に関する要綱]
議会図書室に無限のリソース(人的、スペース的)が割けるわけではないのですから、こういう取り決めをしておくということは良いことだと思うので、文京区でも見習っても良いのではないでしょうか?
議会図書室=「地方自治に関する情報を専門に収集する図書室」をみなせなくもないわけで、もっと一般の図書館との人的、蔵書的交流があっても良いのかな、と素人目には思うわけです。
そして、話は逸れていく…
そういえば、川崎市議会議員で、武雄市のアレをみて、こんなことを書いている方がおられましたな…。
全国から視察が殺到しているという佐賀県の武雄市図書館を訪れた。図書館といえばガリ勉君の居場所であって、全国各地どこに行っても金太郎飴的な施策の代表例だが、そんな「たかが」図書館をここまで注目させた功績は小さくない。
[From 武雄市/川崎市議会議員 山崎なおふみ のブログ「異議あり!」]
図書館が地域のコミュニティとして新しい位置づけになっていくのではと思ったのは、図書館を静かな娯楽施設にしていると感じます。おしゃれな内装に気の利いたカフェ、図書館と言えば、地味で暗いものから、何となく行ってみたくなる、また足を運びやすくする。そんなイメージの図書館です。
[From 図書館のかたち | 月本たくや]
このお二方は、中原図書館のこと、ご存じないってことはないですよねぇ、まさか…。
今年2月の記者会見で、各種の最新設備がそろい、45万冊までの蔵書が可能になる新しい中原図書館について「これだけそろえて、中央図書館機能というのは、国内では最高レベルという具合に形容していただいていいのでは」という阿部市長のコメントがあり、「国内最高レベルの図書館」という見出しがメディアをにぎわせた。
[From 4月2日(火)オープン!国内最高レベルの図書館、中原図書館ってどんなとこ?[はまれぽ.com]]
武雄市のアレよりも、図書館としての機能や設備は段違いに良いと思うのですが…。引用した記事にある写真見てるだけで、個人的には行ってみたくなるぐらい魅力的な図書館に見えます。
議会図書室との相互貸出の対応は、この中原図書館だったりするんですが、多分そのことも知らないんだろうし、ヘタすると議会図書室や図書館そのものをも使ったことがない方々なのかも、と勘ぐりたくなってしまうわけで。
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開示文書の閲覧と複写が終わったあと、少しだけ文京シビックセンターの 23 階にある議会図書室を覗いてきました。 開示された文書類の閲覧に行った時に、時間が... 続きを読む
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