#武雄市 - #CCC 間の協定書+管理業務仕様書を読んでみた #公設ツタヤ問題

と、いうことで、以下のエントリーの続きのようなものですが。

指定管理業務に関する仕様書ですが、何故か開示請求を行っても開示されていないもんだとばかり思っていたのですが、すでに開示請求により入手している方がおりました。

■11月24日追加
武市教文生92号「武雄市立図書館システム仕様書」
武市教文生78号「武雄市図書館歴史資料館管理運営協定書(註:78号開示の一部)」

[From 2013-05-05 - 書肆めぐり は 伯備線沿線で撮影中です]

設備関連の図面が開示されてないので、それと勘違いしていたというか一緒にしてしまっていたのかもしれません。(というか、どこかの自治体の視察報告書の中で「指定管理の仕様は非公開」という文言も見た気がするので、そのへんも含めてごっちゃにしていたのかもしれませんが…。)

そして以前のエントリーにもつながってくるんですが、武雄市の指定管理の仕様書やそれに関連する文書が、情報公開請求でも開示されないことが、人件費や光熱費の負担がどうなっているのかなどの不透明さの原因になっているでしょうし、

[From 武雄市図書館、蔦屋書店とスタバまでが赤字なわけじゃないでしょう? #たけお問題 - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

ということで、気になるポイントをピックアップ

さて、その公開されている協定書とそれに付随する別紙 管理業務仕様書に目を通してみたわけですが、その 7 から 8 ページ目にかけて「指定管理者に行わせる業務の範囲」が定義されています。

3 指定管理者が行う管理業務の範囲に関する事項
武雄市図書館・歴史資料館設置条例第14条及び第15条に基づき、指定管理者に行わせる業務の範囲は以下のとおりとする。
① 図書館・歴史資料館の利用に関すること。ただし、歴史資料に関するものは除く。
② 図書館・歴史資料館の維持管理に関すること。
③このほか、図書館・歴史資料館の管理運営に関して市長が必要と認める業務

[From 武市教文生78号「武雄市図書館歴史資料館管理運営協定書(註:78号開示の一部)]

この部分(とそれ以降にある詳細な業務内容)を読んで素直に解釈すると、書籍販売や CD/DVD レンタル、喫茶業務(スタバ)は、管理業務に含まれるようには読めませんし、行政財産の目的外使用に関する手続きが別途なされているわけですから、完全に仕様外であるといえるでしょう。

18 ページまで読み進めると、「1 6 その他管理業務を実施するにあたっての留意事項」という項目があり、ここでようやく「行政財産の目的外使用」という文言が出てきます。また、それに続いて光熱水費などの負担の扱いについても記述されています。

(11)行政財産の目的外使用となる売店や自動販売機等を新たに設置する場合、武雄市公有財産事務規則に基づき、敷地使用料を徴収します。
(12)複合施設の維持管理に要する光熱水費及び受電設備等に係る費用は、指定管理者がその費用を負担するものとします。

[From 武市教文生78号「武雄市図書館歴史資料館管理運営協定書(註:78号開示の一部)]

目的外使用に関しては、条文中にあるとおり、「武雄市公有財産事務規則」にしたがって手続きがなされているわけですから、その点については特に問題があるわけではないのですが、公共財産規則の第34条第2項には

CCCへの行政財産使用許可書(平成25年度分)- https://todotan.com/takeo/takeo04/04-takeshikyou-no77-kaiji.pdf より

2 行政財産を使用する者に対しては、当該財産に附帯する電話、電気、ガス、水道等の諸設備の使用に必要な経費を負担させなければならない。ただし、市長が特にその必要がないと認めたときは、この限りでない。

[From 武雄市公有財産規則]

と、目的外使用で発生する通信費、光熱水費については、テナント側が負担するというごくアタリマエのことが定められています。
特記的に「市長が特にその必要がないと認めたときは、この限りでない」と書いてありますが、武雄市側が出している使用許可の中ではこのことには触れられていませんから、CCC が目的外使用で行う業務での売上で負担している、と考えるのが妥当だとは思うのですけど…。

図書館における「武雄モデル」の疑念点

既に開示された武雄市からの文書から、武雄市図書館内で営業している蔦屋書店(書籍販売+レンタル)とスターバックスは目的外使用によるものであることは裏付けがとれた形になっているわけで、吹田市の視察報告書などにあるように、指定管理外業務である蔦屋書店とスターバックスの人員が指定管理業務側の人員としてカウントされているのはおかしい、と言えると思います。

職員配置の推移:「[吹田市] H26-08-06 26教地図第64-2号 H25-07-22 平成25年度先進都市派遣研修について(復命)」より切り出し

そもそも含めてはいけない営利部門の人員を含めているからだ、という指摘もあるわけですし、

そういう状況下で「人件費がかさんだので、指定管理業務が赤字です」というのは通用しないのではないでしょうか?

CCCへの指定管理料は年間1億1千万円で、決算は赤字の見通し。高橋氏は「来館者が予想より多く、対応するためにスタッフを増やし、人件費がかさんだ」と説明した。職員数は昨年4月当初は50人だったが、現在は62人。これとは別に上半期は臨時にサポート人員を入れた。「本年度は来館者も落ち着き、職員も慣れてきたので初年度のようにはならない」と次年度以降は持ち直す見方を示した。

[From 来館者3.6倍 武雄市図書館民間委託1年/佐賀新聞ニュース/The Saga Shimbun :佐賀のニュース]

そうなってくると CCC の会計上、武雄市図書館内の蔦屋書店、スターバックスの人件費、加えて店舗運営で必要となる光熱水費を、どう扱っているのか興味が出てくるわけですが、公金が営利活動のために余分に支出させられているような状況が確認されれば、特定企業への利益供与とみなされてもおかしくないと思います。
同じ場所で、指定管理業務と目的外使用の営利活動を行うのが同一企業という事例だからこそ、官民ともに余計な疑念を持たれないように情報公開であったり、透明性の確保といったことは積極的に行わなければいけないと思うのですが、今の武雄市と CCC にはそれを期待することは難しいようですね。
#職員配置の説明の仕方を見れば、ね…。

こういった疑念点も含めての「武雄モデル」なのだとしたら、多賀城市や海老名市などの他の自治体でも進められている「ツタバ図書館」でも同様の疑念が出てくるわけですから、それをそのまま通してしまうのか、はたまたそれに気がついて改善をするのか、他の自治体の動きも注意深くチェックしていく必要があるのではないかと思います。

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