学習者用 PC の調達仕様をチェックしてみる #佐賀県

佐賀県のタブレットの件、え〜っと第何弾だ?というのは置いといて、手に入れた学習者用 PC の調達関連の文書の中から、学習者用 PC の仕様そのものについて記述があるものを中心にチェックしたみました。
今回、チェックの対象にしているのは、次の3つ。

教委情第 435 号と 456 号が、学習者用 PC と同仕様のものを、指導者用に各高校に配備する賃貸借契約分と、一部高校(唐津南、有田工業、鳥栖商業)向けの購入契約分を、総合評価一般競争入札で行うための手続きに関するもので、このうち 436 号は入札実施に向けての公告を行うためのもの、456 号が総合評価一般競争入札を実施するための手続きになっています。
#総合評価一般競争入札 = 総合評価落札方式ってことでいいのかな?

教委情第 456 号の決裁文書中には、前にも書いたとおり、平成 27 年度以降の調達元を決めるだけでなく、平成 26 年度分の調達元を決めるであることも明記されていました。

 今回、学習用PC 賃貸借契約により1,230台、購入契約により626台を調達する。
 この調達により契約を交わした納入業者と、平成26年度新入生が購入する学習用PC (以下、「H26学習用PC」 という。)、約6,800台について、販売に関わる協定を結ぶこととする。
 なお、H26 学習用PCの調達仕様は、基本的に今回の調達仕様と同等(「H26学習用PCに係る仕様書」に示すとおり。)とし、価格については同等以下とする。
 また、平成27年度以降も、毎年4月に新入生が新たに学習用PCを購入する予定であるが、新たに購入するに当たって、特に支障が無い場合は、数年間、今回の納入業者と販売に係る協定を結ぶこととする。

[From 教委情第456号 学習用PC調達に係る賃貸借契約及び購入契約について(伺)〔事前承認〕 ]

改めて学習者用 PC の機器仕様を確認する

学習者用 PC の調達仕様については、教委情第 435 号にあるものが、以降の調達関連の手続きでも使われているようですね。(学習者用 PC 用管理サーバの調達も含んでいたので、その部分は教委情第 435 号以外では削られていますが。)

入札で使われる機器の要求仕様書は、基本的には入札参加者への間口を広くしておけるよう、特定メーカ、特定製品に偏らないような記述をすることが多いわけですが、県が提示した仕様書を見る限りでは特定メーカーが有利になるような記述はないですね。(OS に「 Windows 8 」を指定している点で、 Apple 製品は除外となりますが、まぁそれはそれ、ということでしょう。)
また、生徒全員で共通となる電子辞書までが仕様の範囲内で、それ以外については別調達であることが明記されています。

別表 学習者用端末仕様(1/3):教委情第435号 佐賀県学習用PC調達に係る公告(公報掲載)について(伺)別表 学習者用端末仕様(2/3):教委情第435号 佐賀県学習用PC調達に係る公告(公報掲載)について(伺)別表 学習者用端末仕様(3/3):教委情第435号 佐賀県学習用PC調達に係る公告(公報掲載)について(伺)

教委情第 456 号では、総合評価一般競争入札になるため、県側からの調達仕様の提示だけではなく、県指定の項目に合わせた提案書を作成して提出することを入札参加業者に求めているため、提案書のひな形も開示文書に含まれていました。

佐賀県学習者用PC調達に係る提案書-表紙:教委情第456号 学習用PC調達に係る賃貸借契約及び購入契約について(伺)〔事前承認〕佐賀県学習者用PC調達に係る提案書-目次:教委情第456号 学習用PC調達に係る賃貸借契約及び購入契約について(伺)〔事前承認〕

教委情第 456 号で行われた入札結果と入札参加業者からの提案書の内容評価を行った上で、納入業者が決定されたという流れですね。

教委情第 507 号は、納入業者を学芸システムとすることの決裁になっていて、そこに学芸システムからの提案書が添付されています。その添付されている提案書の中から調達仕様と提案仕様の比較表を下に抜き出してみました。

調達仕様(1/2):教委情第507号 学習用PC賃貸借契約及び購入契約に係る総合評価一般競争入札の結果について(伺)調達仕様(2/2):教委情第507号 学習用PC賃貸借契約及び購入契約に係る総合評価一般競争入札の結果について(伺)

ローカルユーザアカウントの存在について

調達仕様書の中では触れられていないのが、自宅などでの使用を考慮したローカルアカウントを用意するように指定されていたこと。
ローカルユーザアカウントに関しては、教委情第 456 号にある提案書のひな形の中で、自宅での学習者 PC 使用時に安全にネットワーク接続を行うための手段として利用できるような提案を求めている部分で出てきたもの。

佐賀県学習者用PC調達に係る提案書-2.3 自宅での使用:教委情第456号 学習用PC調達に係る賃貸借契約及び購入契約について(伺)〔事前承認〕

学芸システムからの提案内容を抜き出したものが、下の画像。
もちろん、応札した業者からの提案書には、ローカルユーザアカウントの扱いに関する内容が含まれていると思われますが、学芸システム以外の応札業者の提案書は開示されていないので、その詳細については不明。

2.3 自宅での使用-校内での利用と自宅での利用の切り分け:教委情第507号 学習用PC賃貸借契約及び購入契約に係る総合評価一般競争入札の結果について(伺)

県に対して「こういったことが出来ます」ということを提案しているものなので、実際にこの通りになっているのかどうかは不明ですが、自宅からローカルユーザアカウントを利用したネットワーク接続時にも、佐賀県で既に利用している i-FILTER (おそらく Proxy Server ? )の利用を提案している点については、ちょっと引っかかりがあったりします。(赤枠強調部)
仕事の関係で、i-FILTER に触る機会がなにかと多かったりするので、i-FILTER の基本機能だけでも Web アクセスに関する情報が色々と取得できることは体験的に知っていたりします。製品紹介のページを見てもらえばわかりますが、設定次第で POST メソッドでの送信内容を記録することも出来ますし、組み合わせるオプションによっては、HTTPS 通信であっても同様のことが可能です。(ユーザ認証が必要なサイトの ID とパスワードが…。)

再三、話題にしていますが、学習者用 PC は県からの貸与ではなく、生徒及びその保護者によって購入された個人所有物です。
学校外からネットワーク接続時の Web アクセスまで、県・学校側が干渉可能な状況にして良いものなのかという点は議論が必要なことだと思いますし、もし現時点でそのような設定になっているのであれば、どんな設定になっていて、どんな情報が県側のサーバなどに残るのか、その情報へのアクセス権限は誰が持っているのかといったことは、所有者に対して説明してしかるべきである、と個人的には思いますが…。

また、学習者用 PC に対する設定作業について記述されているページにもローカルユーザアカウントに対する設定ポリシーについての記載がありました。
これを見る限りでは、ローカルユーザアカウントといえど、所有者に出来ることは、かなり制限される設定になっているようですね。

1.4 設定作業-グループポリシーによる利用者毎の一括設定:教委情第507号 学習用PC賃貸借契約及び購入契約に係る総合評価一般競争入札の結果について(伺)1.4 設定作業-校外でセキュアなネットワーク接続をするために:教委情第507号 学習用PC賃貸借契約及び購入契約に係る総合評価一般競争入札の結果について(伺)

自宅でローカルユーサアカウントでログインして、 Web で調べ物した結果を WORD にまとめた物を、学校でドメインアカウントでログインした状態でアクセスする、といった使い方は想定されているのかなぁ、とか思ったりしますが、どうなんでしょうね。
#実際に利用している方に聞きたいのだけど、そもそもローカルユーザアカウントって存在します?

「新入生全員購入義務付け」だったのは、何のため?

素の学習者用 PC の調達に関する文書だけ見ても、場合によっては県から生徒及びその保護者に対して説明して理解を得るべきと思われる内容があるというのに、別調達となっている教育用管理ソフト(中でも、モニタリングソフトとしての導入になっているであろう、SKYMENU や Optimal Biz for Mobile 等)の扱いについても、何も明確な説明が行われていない状況は、今まで開示請求で取得した文書類からも読み取れます。
#管理者権限は所有者に与えられません、といったことを説明した資料は、今のところ確認できていない。

個人所有機器なのに、個人に与えられた機器に対する権限はあまりにも狭いですし、そのうえ校外での利用に際しても県の設備の中にログが残っているかもしれない疑惑がある時点で、個人に購入を義務付けた今の佐賀県のやり方は、賛同できるものではないというのは確かなようです。

これからも情報公開制度で文書の取得は行っていくつもりですが、賛同できない材料が増えていく方向にしからならなさそうな気が…。

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コメント(1)

赤井葵 返信

ほんと使い勝手悪いです。ネット検索しようとしてもほとんど引っかかりますよ。LINEもpc上でできないし、Chromeも入れれないし……………………結局まぁまぁですね

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