Tポイント付かないのに、Tカードで図書貸出し、って…

海老名市図書館の貸出券更新がスタートして一週間ちょっとが経過したわけですが、当初予想していたよりも、カードの画像を tweet したり、Facebook にアップしたりというのが少なかったように思います。

それでも、T-ID を全てマスクしない画像もあったりして、危険だという意識はまだまだ浸透しないんだなぁ、とも思ったりするわけですが。
#そのおかげで、海老名市図書館の固有コードらしきものは、特定できたりしたんですけどね。

実際に窓口での対応なども、情報が流れてきていますが、

一応、T カードへの積極的な誘導はないようですが、カードの種類の説明資料では、1 番に T カードが来てるあたりに暗に T カードを薦めたいという意図が現れてるんじゃないかなぁ、とも思ったりもします。

とある方から直接情報提供いただいているのですけど、中には T カード申込書の画像もありまして、申込書は海老名市用に用意されたようです。おそらく他の自治体でも CCC を指定管理者とする場合は、 T カード必須になるのでしょうから、こういった申込書も各自治体向けに用意されるのでしょう。

提供いただいた画像の一部、申込書の最上部を拡大したものが、こちら。

Tカード申込書の一部拡大

さらに、その画像内の文章をテキスト化してみたのが、下の内容。


海老名市御中
カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社御中
株式会社Tポイント・ジャパン御中

私は、海老名市の「海老名市立図書館利用に関する規約」、カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(以下、「CCC」)の「T会員規約」(Tカードを提示された情報は、CCCに提供されます。またCCCにからCCCグループ会社および提携先に個人情報として提供されることの記載を含みます。ただし、図書館での貸出情報がCCCへ提供されることはありません)、株式会社Tポイント・ジャパンの「ポイントサービス利用規約」、海老名市及びCCCの「Tカードでの海老名市立図書館利用に関する規約」、および株式会社ファミリーマートの「ファミマTカード会員規約」(※1)に記載された内容を確認し、これに同意しましたので自筆にて以下の事項を記入の上、登録の申し込みをいたします。
(※1)ファミマTカードご利用の場合のみ

この文章から行くと、海老名市図書館Tカードを新規に作成(または既存 T カードに図書貸出機能を付与)する場合には、

  • T 会員規約
  • ポイントサービス利用規約
  • T カードでの海老名市立図書館利用に関する規約

この3つの規約に同意する必要があるということになるわけですね。ファミマTカードに図書貸出機能を付与する場合には、さらにそれに規約にも同意する必要があるようです。
まぁ、実際のところは、3 つの規約に同意する必要があるのは新規に「海老名市図書館 T カード」を作る場合であって、既存の T カードやファミマ T カードに図書利用機能を付与する人は「T カードでの海老名市立図書館利用に関する規約」だけに同意するだけになるのでしょうけどね。

気になるのは、「T カードでの海老名市立図書館利用に関する規約」の中身が、全く不明なこと。勿論、T カードを図書利用カードとして選択した人には内容が説明され、規約も紙としても手渡されていると思うのですが、現時点では海老名市のサイト、 CCC のサイトいずれにもその情報がないこと。
海老名市の個人情報保護条例に反するよう内容にはなっていないと思いますが、中身は読んでみたいですね。

また、公報えびなにも記載されていたように、申込書にも「ただし、図書館での貸出情報がCCCへ提供されることはありません」と記述がありますから、武雄市のように蔵書返却時にポイントが付くということはなく、貸出履歴が CCC 側に渡ることはなさそう、ですが…。

ポイントが付かないから、といって安心していいものなのか?

先の画像を提供してくれた方が貸出券の更新手続きをした際に、窓口で対応してくれた人に聞いた、という内容をちょっと紹介してみます。

DBは、Tと図書館で分離しているが、図書館側でもT-IDの4桁を保持。住基情報とはもちろん完全分離。
アクセスは、基本的に図書館→Tへの一方向。
カード発行時のみ、図書館カードの有効性チェックのため、例外的にT→図書館のアクセスが発生。
図書館で保持するT-IDの4桁データを、T側のチェックに使用する、というニュアンスだが、窓口担当が詳細を知ってるとは思えないため、フィールド云々やアクセスの仕方、オンラインでやるのかどうかについては突っ込まず。

やはり、ここで気になるのは、T-ID のうちの 4 桁(おそらく下の 4 桁と思われる)を図書館システム側でも保持する、という点と、この 4 桁の情報を使って「図書カードの有効性チェックを行う」とか、「アクセスは、基本的に図書館→Tへの一方向」といった話が出てきていること。

教えてもらった瞬間に「4 桁だとカード発行枚数が 1 万枚超えたらダブリ出るんじゃ?」と思ったんですけど、ユーザをユニークに判別するためどのような処理を行っているのか不明ですし、オンラインでやりとしているのどうかも、現時点では不明。
やり取りする内容からすれば、オンラインであったほうが良さそうではありますけど、こればっかりは要件を定義している書類や仕様書の類を見ないことには、断言出来ない部分ではあります。ただ、ポイントが付かないからといって、図書館システムと CCC 側をオンラインで繋いでいないことが、明確に否定されていないというのも、現状なのです。

10 月 1 日に中央図書館が再オープンするわけですから、システム的な部分は、おおよそ出来上がっていて、そろそろテストフェーズに入っていてもよさそうです。その中で図書館利用者の情報の確認シーケンスといったところも、当然何らかの形でテストを行うのではないでしょうか。
図書館側のシステムを変更しているのだとすれば( T-ID の 4 桁を格納することになっているのであれば、当然何らかの変更が必要)、CCC から海老名市に対して仕様が提示されているでしょうし、その中にはやり取りされるデータ項目やフォーマット( T-ID の下 4 桁以外にどんな情報が必要なのか)といったものも含まれているでしょうし、オンラインで接続するための前提条件といったものも含んでいるかもしれません。

そしてそれらは、当然公文書として保管されていてしかるべきもののはずですから、情報公開請求で引き出すことが出来れば、内容を検証することは出来るでしょう。

CCC にとって、情報公開制度は、目の敵?

ただ、それらの仕様に関する内容を開示請求をしたからといって、すんなりと開示されるかどうか、という点には大きな疑問符が付きます。

CCC を指定管理者としている武雄市図書館では情報開示の遅延、特に図書館に関するものに関して、それが目立ちますし、多賀城市でも

といったことが行われているようです。
海老名市も開示された図書館関連の文書で肝心の部分が黒塗りとなっていたり、

今回同行していただいた福富氏が情報公開請求して入手した事業報告書を見せてもらいましたが、肝心な部分はすべて黒塗り、内容がほとんどわからない状態でした。

[From 海老名市図書館を訪問、谷一統括館長と面談しました : 瑞穂図書館を考えるblog]

図書館を所管している教育委員会の議事録の公開が遅れているといったことが、実際に起きています。

さらに、CCC は、各自治体などの行政機関が定めている情報開示制度を、

①情報公開請求の問題
 まず、情報公開請求によるノウハウ流出リスクが大きな問題であると感じている。住民から請求があれば、行政は情報公開せざるを 得ない。弊社のノウハウである図面、書架配置図がネット上にUPされるリスクがある。 また、公募エントリー資料も不特定多数に閲覧される可能性があり、ノウハウ流出リスクを常に抱えている状態である。
 市町村によってはノウハウ保護のため、情報を外部に出さないところもあるが、その対応は地域によってバラつきがある。
 その結果、突出したノウハウを持つ企業は参入できない市場になってしまう。

[From 平成 26 年度 指定管理者実務研究会 報告書 指定管理者制度による新たな事業価値の創造]

「邪魔なもの」である、と考えているようです。(ここには書かれていませんが、各自治体の個人情報保護条例も邪魔だと思っていても、おかしくはなさそうです。)

そう考えると、武雄市での情報公開請求に対する対応の遅延や、多賀城市での文書隠蔽などは、実は CCC がなんらかの働きかけしているからなのでは疑いたくなりますし、もしかして海老名市も同様なのでは、となるわけですよ。
それが、事実かどうかは別にしても、この辺りは引き続き注意しつつ観察を続けていく必要があるでしょう。それは、CCC の指定管理前提で図書館の新築の話が進んでいる自治体も同様だと思います。

海老名市の図書館システムと CCC のシステムとの関係、杞憂で終わるといいんですけどね…。

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