自治体スマホは、Tポイントの夢を見る?(但し、悪夢だが…)

以前書いていた CCC が MVNO に打って出てきた、という件ですが、 TONE というブランドが立ち上がって数ヶ月経過しましたが、あまり使ってる人の話は聞きませんね〜。

トーンモバイルは4月30日、Androidスマートフォン「TONE」と、通信サービス「TONE mobile」を発表し、5月5日から提供する。フリービットとカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)の戦略的資本・業務提携の成果がいよいよ日の目を見る。

[From 安いだけではダメ:freebit×CCC――トーンモバイルが「TONE」で変える5つのこと (1/2) - ITmedia Mobile]

上にリンクしている記事の最後の方でも、取り上げられている通り、

ただ、垂直統合の要のひとつである端末が「PandA 3rdLot」とほぼ同じであることには不安を感じた。ファームウェアの改良もあり、動作はキビキビとして快適なのだが、今の時期にLTEに対応しておらず、しかもOSがAndroid 4.2.2であることはどうなのだろうか。

[From 安いだけではダメ:freebit×CCC――トーンモバイルが「TONE」で変える5つのこと (2/2) - ITmedia Mobile]

技術の新陳代謝が激しい状況下で、ロースペックな端末一択というのは、端末以外のサービスが良かったとしても、利用する側からは食指が動かないものになってしまっているのでしょう。

CCC が参入してきた背景には、先細っているDVDレンタル事業の代わりになる柱としたいという思惑があったからだと思いますし、TONE の利用者を増やすことは、大きな課題になっているのではないかと思うのです。

レンタル事業は厳しいというような話も聞きますので、新たな個人の行動履歴情報を集めるための手段としたい、という思惑はあるでしょう。

[From CCC フォンは、やはり行動履歴情報の収集ツールになる? - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

ふるスマのセールスマン、吠える?

で、この課題を解消するための方策なのかどうかは別として、7 月に CCC モバイル 100% 出資で設立されたのが、ふるさとスマホ株式会社。
「スマホで地域活性化」をお題目に、高齢者向けの健康増進を事業としていくということで、郡山市で行われた交換会の場でも、自らが代表を務めるふるさとスマホでやろうとしているビジネスに関するビジネストークが展開されたようです。

歩数計入れます。さっきも出てましたけど歩数計を。で、たとえば1万歩歩いたとしましょう、1万歩。10Tポイント差し上げます。なんかテレフォンショッピングみたいになってきました?たとえば、たとえばですよ、みなさんが行きたくない健康診断に行きます。30Tポイント差し上げます。ね。

[From 郡山JC樋渡啓祐講演会2015.10.27 #09「ふるすま」 - nuiru's blog]

しきりに「Tポイント」を連発したようですが、現時点ではふるスマとしてみせることの出来る実機でのデモはなかったようです。実機で実際に「どんなことが出来るのか」を見せるのが、一番効果的だと思うのですけど、そういうところまでは手が回ってないんですかね…。
#まぁ、自らは iPhone ユーザだそうですから、やっているビジネスそのものに、あまり強い思い入れはないのかも。


さて、いまのところふるスマでは実機デモを見せることの出来ない「スマホでヘルスケア」という分野ですが、これチョット調べてみると、携帯キャリアを含め、結構な数の会社からサービスやらアプリが出ていて、既に競争が激しくなってきている分野ではあるようですし、そこそこユーザを集めているサービスも出てきているようです。

ドコモ・ヘルスケア株式会社(東京都渋谷区、代表取締役社長:竹林一、以下ドコモ・ヘルスケア)が提供する、スマートフォン向けヘルスケアサービス「カラダのキモチ®」および「からだの時計 WM®(以下、からだの時計)」(いづれも月額利用料300円・税抜)の契約数が、2015年6月21日をもちまして200万件を突破いたしました。

[From スマホ向け月額制ヘルスケアサービスの契約数が200万件を突破 | ニュースリリース | ドコモ・ヘルスケア株式会社]

この手のサービスは、活動量計で測定した歩数や心拍数、モノによっては睡眠時間などのデータをスマホ側のアプリで読み取って、グラフなどで表示するというものが多いようです。計測したデータをスマホに飛ばせる体重計もあるので、それと組み合わせたり、と各社工夫をしつつ競争に励んでいる模様。

歩数計アプリをインストールすれば、スマホだけでもなんとかなりますけど、細かい情報もトータルで分析しようとした場合には活動量計と組み合わせて、というかたちに落ち着くのでしょう。

今のところ、実物でのデモや具体的なサービスを使っての提案が出来ないふるスマの事業ですが、スマホを税金でばら撒いて使ってもらい、利用者から取得できる各種データの対価として T ポイントをを付与する、しかもその T ポイントの原資には税金を当て込む、というのが事業の目的であって、表向き掲げているのはお題目でしかないようです。

それでえっと最近、あのー、ね、ちょっと出したのが、これ。あとね体重記録もあわせてログに?????ます。今僕ら体重計もじつは開発してますので、たとえば200g落としたら10Tポイント差し上げます。

じゃあ原資どこが持つんだっていったら組み合わせた行政に持ってもらいます。行政が、医療費対策として。よっぽどそっちが安いです。

[From 郡山JC樋渡啓祐講演会2015.10.27 #09「ふるすま」 - nuiru's blog]

ふるスマの話に乗る、ということは、自治体が積極的にパーソナルデータを特定企業に流すことを支援することになるわけですから、慎重に対応すべきものではないかと思いますが…。

天下り?天上がり?やっぱり事後収賄?

さて、ご本人は「天下りじゃない」と否定されてますけど、「天下りだよね」と思う人のほうが多いのが普通だと思います。

天下りって普通、例えば総務省からね、とか文部科学省からCCCに行ったら、これは天下りって言われるかもしんないけど、武雄市からツタヤ、大ツタヤにね天下りってありえないんですよ。どっちかっていったら天上りなんですね。うん、と思うんだけどやっぱりこれイメージなんでしょうね。なんかまあそりゃまあ僕の不徳の致すところだと思うんですけれど。

[From 郡山JC樋渡啓祐講演会2015.10.27 #09「ふるすま」 - nuiru's blog]

どう言い訳しようと、市長時代に武雄市図書館の指定管理者として選定した CCC 、その子会社が 100% 出資して設立された会社の社長に就任したという事実は変わらないですし、それに対する世間の評価が冷たいものとなるのも当たり前ではないでしょうか?

もう一つ、ふるスマの設立記者会見の際に、設立が発表された「自治体スマホ連絡協議会」という団体も注目すべきでしょう。

ふるさとスマホの設立にあわせ、富山県南砺市長、奈良県奈良市長、大阪府東大阪市長、福岡県鞍手町長が発起人となり「自治体スマホ連絡協議会」を組織し、同社と連携して地域課題の共有や実証実験などを行っていくという。

[From CCCモバイル、スマホで地域活性化を促す「ふるさとスマホ株式会社」設立 - ケータイ Watch]

自治体スマホ連絡協議会の方向性(案)

自治体スマホ連絡協議会の顧問に、ふるスマ社長である樋渡氏が就いていますから、協議会自体の運営自体にふるスマ(その親会社となる CCC)の思惑が色濃く反映される可能性が高いですし、「協議会との連携して行う事業である」という理由だけで、ふるスマに対する特命随契が起きやすくなるかもしれないことも、注意しなくてはならないでしょう。

南砺市のサイトで見ることの出来る協議会の方向性という画像を見る限り、そこに掲げられている項目の多くは、既にサービスや製品という形になっているものが多いわけですし、公正な調達手続きがとられるべきでしょう。
もちろん、「T ポイント付きます」しかアピールポイントのない会社が、特命随契で選ばれるような馬鹿な判断が行われないよう、チェックの目を光らせておくことも必要ですが…。


で、長々とこのエントリを書いている最中に流れたのが、こんなツィート。

発送されている文書には、当初の発起人以外に、静岡県浜松市、福島県郡山市、群馬県下仁田町が発起人として名を連ねているそうですから、お住いの方々は、要注意ですね。

ということは、これは浜松市のことかな?

で、ある政令指定都市、これ名前は言えません。僕は口が堅いんでね。今まで柔らかすぎてだいぶ叩かれましたけど。ある政令指定都市は、あのー、これ日経新聞に載ったんですよ、これ、日経新聞載った時に、ある市長さんが僕のとこに連絡寄こして、これ3000台くらい買い上げます(と言ったんです)。

[From 郡山JC樋渡啓祐講演会2015.10.27 #09「ふるすま」 - nuiru's blog]

で、こっちは下仁田町か…。

で、ある北関東のある町はそのニュースを見て、樋渡さん7千世帯うちあるんですけど全部買い上げます、世帯全員に配ります、あ、全世帯に1個ね。何するんですか?って聞いたら、ケーブルテレビの代わりにします、うん、要するにこれからケーブルテレビ敷設すると莫大なお金がかかるわけですね、今補助金ももうないですし、旧郵政省みたいな。だからこれとこれとこれでケーブルテレビの代わりにするって、いうことを言ってます。 [From 郡山JC樋渡啓祐講演会2015.10.27 #09「ふるすま」 - nuiru's blog]

まぁ、ここだけの話と思ってなのでしょうけど、営業上の秘密は口外しないのが一般的なビジネスマナーだと思うんですけど、この方にはそういうお考えはないようですね〜。

って、郡山市も、もう決まってたりするんですかね…。

で、来年の春頃に郡山に一番最初に出します。冗談です。全国一斉に出しますけど。郡山もちゃんと出します。遅れないように出します。ね、出します、ね。 [From 郡山JC樋渡啓祐講演会2015.10.27 #09「ふるすま」 - nuiru's blog]

各自治体にお住まいの方は、マジに調べたほうが良いかもしれませんよ、これは…。

トラックバック(0)

コメントする