最近、公開された記事で、こんなのがあるというのを Twitter で見かけた。
![東北の復興を感じさせる図書館!多賀城市内の図書館をご紹介します!|Joytrip[ジョイトリップ]](https://www.downtown.jp/~soukaku/images/TGJ/joyTrip_TGJ-lib.png)
個人のブログで吠えたところで、あんまり影響は及ぼさないでしょうけど、記事を読んだら、なんか吐き出しておきたい気分になったので、書いておくことにします。
最も駄目な点は、高層書架でしょ
個人的に多賀城市図書館で一番ダメな点は、東日本大震災を経験した地域にも関わらず、三層に連なる高層書架が使われていることだと思っています。
記事中では
他の図書館での批判や改善点、東日本大震災での経験を踏まえたとても素敵な図書館です。
[From 東北の復興を感じさせる図書館!多賀城市内の図書館をご紹介します!|Joytrip[ジョイトリップ]]
と書いていますが、被災の経験が生かされているのであれば、あの高層書架は、とてもじゃないけどありえないと思うのですよ。特に 3 階の一般利用者の立ち入れない、いわゆる"閉架書庫バルコニー"なる部分は、手摺部分に目隠しパネルが設けられていませんから、地震時には書架から落下した蔵書が更に 1 階に降り注ぐ危険性があるのですよ。
2 階のバルコニー部分の書架も落下対策はされているようでが、本当に蔵書落下の危険性はないのでしょうか。
提案する方もする方ですが、それに疑問を持たずに受け入れた行政の皆さんは、何をもってして安全と判断して、提案をそのまま受け入れたのでしょうか?
震災時の図書館がどうなったのかは、近隣に事例あり
多賀城市内にキャンパスを持つ東北学院大学の図書館では震災アーカイブを構築しており、大学全体が受けた被害状況など公開しています。それ以外にも図書館自体が震災の際にどのような状況だったのか、その後の対策はどう進めているのかといったことを取りまとめ、論文などの形で公表されています。
高層書架をありがたる自治体関係者は、これ読んで良く考えて欲しいわ…。
— Soukaku (@Soukaku) 2016年4月25日
東日本大震災からの復旧過程で考えたこと、感じたこと-東北学院大学図書館の経験を基に- (2012年度私立大学図書館協会東地区部会研究部研修会資料). https://t.co/hjKqcw11Zd
(3)書架の安全対策と避難経路の確保 -資料を「落とす」か「落とさない」か
今回の震災を通して最も考えさせられたのは、まさにこの点である5。資料を落とせば書架に掛かる負荷は軽減されるが、下に人がいた場合は落下資料による負傷や床が資料で埋め尽くされ避難経路確保が困難になるリスクが高まる。落とさなければ後者のリスクは減少するが、書架全体への負荷は増大し、最悪の場合書架自体が転倒することも考えられる。
[From びぶろす-Biblos|国立国会図書館―National Diet Library]
資料に使われている写真を見ると、さほど背の高い書架を使っていないにも関わらず蔵書が大量に床上に落下してしまい、まさに足の踏み場もない、蔵書が落下しなかった書架は揺れと蔵書の重みのせいで歪んだり倒れたりと、かなり悲惨な状況であったことがわかります。
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