パスワードの扱いについて、中学の技術・家庭ではどう教えることになっているのだろう?

4 月頃になって、急に話題になった「パスワード定期変更不要論」ですが、

総務省は「国民のための情報セキュリティサイト」で昨年11月、パスワード流出やアカウントの乗っ取りなどがなければ「定期的な変更は不要」と記載を改めた。従来はパスワードの定期的な変更を求める内容だった。

[From ヤフーがパスワードの定期変更求める記載削除へ 総務省も「安全なもの」前提呼びかけ - ITmedia NEWS]

中学校では、パスワードに関する扱いを、どういうふうに教えることになっているんだろう?というのが気になって、息子が使っている技術・家庭の教科書を見せてもらったら、

注意点に「定期的にパスワードを変更する」という記述が。
まぁ、発行のタイミングもあるんで仕方がないのだろうなというのもわかるので、このあたりはガチガチに教科書通りに教えるのではなく、社会のトレンドにに合わせて指導していってもらえればと思うわけです。

息子の使っている教科書と違う会社のものだと、どうなってるんだろう?

教科書そのものは、複数の会社で発行しているので、「じゃあ、会社が変わると、どう変わるんだろう?」というのも気になって、発行されている教科書全てを閲覧できるところはないかと探してみると、いくつか存在しているを見つけた。


文京区の教育センターには「教育資料室・教科書センター」というところがあるのは知ってたので、まぁそこ行けば見れるだろうとは思っていたんですけどね。

小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校用教科書(平成30年度使用各教科書目録に登載されているもの)

[From » 教育資料室・教科書センター|文京区教育センター]

ということで、実際に行って、技術・家庭(技術分野)の教科書をチェックしてきました。

教育センターの案内ページにある平成30年度使用各教科書目録は、文部科学省のサイト内で情報が公開されているのだけど、これに掲載されている技術・家庭(技術分野)の教科書を発行しているのは、東京書籍教育図書開隆堂出版の三社。

それぞれに、ざっと目を通してきたわけですが、パスワードの扱いに関する記述は、だいたい以下の通りでした。

  • 東京書籍
    • 情報の章の一番最初で、学習を始めるにあたって情報モラルを解説するパートが見開きで用意されており、そこにパスワードの扱いに関してが書かれている。
      • ちなみに、27年度まで使われていたものには、「情報モラルに関するパート」がなく、パスワードの扱いについても具体的な記述はなかった。
    • 記述内容は「厳重に管理」、「他人に教えない」、「生年月日のような推測されやすいものは使わない」、「定期的に変更」。
  • 教育図書
    • パスワードの扱いに関する記述は見つけられす。(情報の章全体を見渡してもなかった。)
  • 開隆堂出版
    • 情報モラルに関する内容(含むパスワード)は、単元が進んでから。
    • 記述内容は「推測されやすいものは使わない」、「使い回さない」、「ショルダーハッキングに注意」、「見えるところにメモで残さない」。

東京書籍、開隆堂出版のものの記述に関しては、概ね問題ないかなと言う感じですが、とにかく気になったのは、教育図書の出しているもの。
「まさか、ね…」と思いつつ、何回か見直したのですが、パスワードの扱いに関する記述を見つけることができなかったのですよ。用語索引にも「パスワード」って載ってなかったし、執筆者に日本マイクロソフトの人の名前があったり、編集協力にインターネットユーザー協会の理事の名前があったりしたのに、情報セキュリティやモラルに関する記述がすっぽりと抜け落ちているように見えたのが、逆に衝撃的で…。
#自分が読み落としているだけなら良いのですが…。

もしかしたら、教師用指導書の中で情報モラルに関する内容の補足があって、そこで生徒向けにどう指導すればよいのか書かれていればよいのですが、採択されている教科書の内容の違いで、パスワードの扱いのような情報モラルやリテラシーに関する生徒の理解度が違ってしまうのはどうなんだろうなぁ、というのは気になりますね。

さて、教育資料室・教科書センターについて

文京区の場合、教育センター内に教科書センターが併設されている形になっているわけですが、さらに教育資料室と一体運営となっているようで、小中高で使用される教科書(多分、全種類)以外にも、教師向けの書籍類や区内の各学校で行われた研究授業に関する報告書類などを保管・分類整理して閲覧に供する、という図書館的な機能も提供していました。教科書は禁止されていましたが、それ以外の資料に関してはコピーを取ることも可能なようでした。
流石に貸出はおこなっていないようですが、基本的には日曜祝日以外の 9 〜 17 時であれば、区民、区民以外を問わず、自由に利用することができるようなので、教科書の内容に興味があるので見てみたい、教科の指導に役立つ資料がないか調べたいという方は、足を運んでみてはいかがでしょうか?

更に、よくよく調べてみたら、教科書センター自体は都道府県によって設置されるもののようで、その場所のリストも文部科学省のサイトの中で公開されていました。

教科書センターでは,教科書を展示し,教科書の調査・研究の便を図るほか,教授用の資料も併せて備え付け,学習指導のための資料提供,教科内容の研究等が行えるようにしています。

[From 都道府県が設置する教科書センター一覧(平成30年4月現在):文部科学省]

リスト見ると、図書館や学校に併設されているところもあるようですね。児童生徒の保護者以外でも「今どんな教科書を使ってて、その内容どうなのか?」と思ったときに、内容にアクセスするための手段があるというのは、良いことなのではないでしょうか。
#教科書センター設置についての法的な根拠もあるようですが、どの法令に該当するのかまでは、ちょっと調べきれなかった。

ということで、中学校の技術・家庭の授業の中で、パスワードに関してどう指導していくのかが判ったのはいいのだけど、やっぱり教育図書の出しているものの内容には納得できねぇなぁ、という事になってしまいました…。
もしかしたら、パスワード以外の情報モラル、リテラシー全般に関する内容も含めて、再度チェックしに行ってくるかもしれません。

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