武雄市図書館と CCC のおはなし(個人的な雑感)

ここ1年、ずーっと興味を持って見ていた武雄市図書館の話ですが、ちょっと自分のスタンスをまとめてみた。

バンキシャや報道ステーションに取り上げられたので、それを見た方もいらしゃると思うのですが、実のところ武雄市図書館に関しては、図書館の管理業務の実績がない管理者が選定され、その選定過程にも不透明な点があるといった問題以外にも、多数の問題や疑問点が指摘されています。
問題点や経緯については、有志がまとめたこちらの「03:武雄市図書館 - 佐賀県武雄市の問題について:takeoproblem」を見ていただければ、把握することができますので、興味のある方は、是非ご覧になっていただきたい。

あまりにも問題や「なんだこれ」といったことが多いので、自分的に簡単に何か起きているのか、まとめてみたのが、次のような内容。

  • カルチュア・コンビニエンス・クラブ(TSUTAYAやTポイントカードでおなじみですね)が、公立図書館における管理業務の実績がないのに、指定管理者として指定されたこと。(武雄市が初)
  • 市長が図書館の利用必要な利用者カードを、すべてTポイントカードに移行、とぶち上げる。
    • 結果、図書館での書籍の利用履歴というセンシティブな情報が CCC に渡るのではないかという懸念から、Twitterを中心に大ブーイングの嵐。
  • CCC が指定管理を受けるために、図書館の改装に4.6億円(うち、国からの合併特別債2億円)が支出された。
    • 改装に際して、バリアフリー面で、改装前よりも設備が後退した可能性がある。
    • 書籍の販売エリアやカフェアリア(スターバックス)のスペース確保のために、高さ3.9〜4.6mの書架を採用している。
  • 開館後、排架やリファレンス業務など、本来の図書館としての業務に支障が出ている可能性が高い。
    • 本来、図書館スタッフと販売スタッフは、別々に配置すべきなのが、兼務となっているために、図書館業務が回っていない?

コレ以外にも、

  • 高さ3.9~4.6mもある書架を採用したことにより、目視による蔵書探しがやりにくくなっていたり、書架の高い位置にある蔵書の取り出しに危険が伴う。
    • 幼児向けの児童書が、手の届かない高さ(2~3m)に排架されている、とか…。
  • 書籍の販売スペースと図書館スペースのゾーニングが曖昧
  • 併設されたスターバックス用なのか図書館利用者用なのか曖昧な座席とその数
  • 武雄市図書館のスタバに関する問い合わせをした人の情報が、問い合わせした本人に断りなく CCC に提供された

などなど、開館前から予想されていたことや、開館後に判明した問題点が山積み。


自分の今の居住地である文京区は、全部で11の図書館/図書室があり、そのうちの1館を除いて指定管理者による運営になっています。(2011年から、だったかな?)
直営から指定管理者に切り替わる前から図書館は利用していたので、指定管理者に切り替わったからといって変化したなぁということも感じずに利用できていますんで、ちゃんと図書館として機能してくれるのであれば指定管理者による運営には反対する理由はないと思っています。
文京区の場合「ハヤカワ文庫全点揃い!!」「朝日グラフは大正12年から!!」「都内有数の洋書絵本の多さ!!」(すべて、水道端図書館)とか、視覚障害者の利用が多いためそのための設備(拡大読書器やデイジー図書の録音・再生・編集など)を整えている(目白台図書館)など、館毎にそれぞれ違った特色を持って運営されているということもありますし、それらは直営の時代から引き継がれているであろうことを考えれば、今のまま管理を継続してもらえば良いでしょう。

ただ、武雄市のように指定管理者に対して便宜を図るような予算投入が発生するような事態になるのであれば、検討の経緯などを明らかにさせるよう行動すると思います。

区議会議員の中にも、

私は公共サービスとして、住民が等しく「知る」ことが出来る図書館の役割だけは変えてはならないと思っております。
古くから書店業務をしている会社であればまだしも、元々がCDレンタル事業から始まり基本的に売れるものしか店頭で取り扱っていないカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社が、そのことを理解し実行することは非常に難しいかもしれません。

[From TSUTAYA図書館から見た文京区|文京区議会議員 橋本直和 オフィシャルブログ]

というように、いまの武雄市図書館のあり方に疑問を持っている方がいらっしゃいますので、そうそう簡単に CCC が入ってこれるような状況では無さそうではあると思いますが…。(でも、油断は禁物。)
勿論、図書館機能や今の館ごとの特色を損なわず、図書館の魅力的を引き出すまたは機能の補完出来るというのであれば、カフェが併設されたりするのは良いと思いますが、少なくとも現時点において武雄市図書館を手本するようなことは、絶対にあっちゃいけない、というのが自分の考えです。
#今の状況を見ている限り、CCCには図書館の指定管理者としての業務遂行能力はない、と思っていますので。

最後に、こんなの tweet を紹介しておきます。

#武雄モデルを手放しに褒める議員さんが多く感じるのは何でなんでしょうね…。

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時々書いてる、武雄市図書館界隈の話に関連しているんだけど、発案者本人が「ねずみ講みたいなもん」と言って憚らない 自治体通販を謳う F B良品 が 、9月か... 続きを読む

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