自分の住んでるトコの個人情報保護条例を読んでみた

とりあえず、ダラダラと続くでシリース?の第三弾。
#といいながら、ダラダラ書いてたら、新たな動きが出てきてしまったよ…。

前のエントリーの中で、ちょっとだけ取り上げた個人情報保護条例について。
件の図書館での問題点の一つが、図書館利用カードとして使われる Tポイントカードに刻印されている T 会員番号が、自治体で制定している個人情報保護条例上の個人情報として扱われるのかどうか、というもの。


というような話もあるし、

まず、個人とTカード番号の紐づけ情報。CCCがこの情報を持っていることは、間違いありません *1 。そうでなければ、ポイント付与や利用といったサービスを受けることはできません。

[From サーバ管理者日誌 シリーズ武雄市TSUTAYA図書館(16) - 武雄市議会 平成25年3月定例会 石丸定議員一般質問]

CCCは図書館から送られてきたTカード番号に対してポイントを付与するわけだが、そのTカード番号が「誰」なのかは、Tカード作成時に申請者から預かった情報から特定できる。 つまり武雄市図書館がCCCへ利用者のTカード番号を渡すと、CCCはその番号を元に個人を特定できるはずである。

[From 武雄市図書館のTカード番号で「本人が特定されない」のは本当か - dechnostick's blog]

そもそも、T 会員番号と紐付いた会員情報をCCCは持っているわけなので、「他の情報との照合により個人の特定が可能な情報」であり個人情報として取り扱うべきものであると考えていいでしょう。

で、文京区の条例では、どう定義されているのか、というと

(定義)
第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 個人情報 個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
二 保有個人情報 実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画、写真、フィルム及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有している個人情報をいう。
三 個人情報ファイル 保有個人情報を含む情報の集合物であって、次に掲げるものをいう。
ア 一定の業務の目的を達成するために特定の保有個人情報を電子計算組織を用いて検索できるように体系的に構成したもの
イ アに掲げるもののほか、一定の業務の目的を達成するために氏名、生年月日その他の記述等により特定の保有個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したもの
四 区民等 実施機関により個人情報が保管されている区民又は区民以外の者をいう。
五 実施機関 区長、教育委員会、選挙管理委員会、監査委員及び議会をいう。

[From ○文京区個人情報の保護に関する条例]

抜き出した条文の「一 個人情報」にある通り、「他の情報と照合することが出来、それにより個人が特定できるもの」を個人情報として定義している。
よって、文京区においては、「T 会員番号は、個人情報保護条例における個人情報としてある使うべきもの」と解釈出来ますね。

個人情報として扱うものとなると、

  • 個人情報を電子計算組織(いわゆるサーバなどのコンピュータ)に記録してはいけない
  • 個人情報をネットワークを通じて外部に提供してはならない
  • 区民などからの情報開示、訂正、削除の請求が行われた場合には、すみやかに対処しなくてはならない

といった条例上の制約を受ける事になるわけで、文京区において区の施設の利用者カードのようなものを T ポイントカードと兼用させるような事をしようとした場合には、条例改定が必要と言えそうです。(もちろん、だからといって安心できるものではないんですけどね。)

武雄市については、

つまり、武雄市の個人情報保護条例は、行政機関個人情報保護法や個人情報保護法、普通の個人情報保護条例と違って、どういうわけか、「(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」との条文を欠落させてしまっているため、結果的に、教育部長が言うような詭弁が合法になっているのである。

[From 高木浩光@自宅の日記 - 多賀城市立図書館は個人情報保護条例改正なしにTポイントを導入できるか]

という状態なために条例での制約を課すことがで出来なくなっているようですが、新たに CCC に図書館の企画をさせることを発表した多賀城市の条例を読んだ限りでは、「他の情報と照合することで個人の特定が可能なものは、個人情報」という解釈ができる条文が盛り込まれていることは確認していますが…。
どうなっていくのかは、要観察ということになりそうです。

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