利用者からみた「指定管理者が図書館を運営するということ」

前回の続きというか、ちょっと書き足りない事もあったりするので、また書いてみる。(書いているうちに武雄市のことから離れるかもしれないし、離れないかもしれない。)

とりあえず、今回は指定管理者について。
「指定管理者制度」ってなんぞや、ということに関しては、Wikipediaの記述が、個人的には一番しっくりきたので、下記に引用。

指定管理者制度(していかんりしゃせいど)は、それまで地方公共団体やその外郭団体に限定していた公の施設の管理・運営を、株式会社をはじめとした営利企業・財団法人・NPO法人・市民グループなど法人その他の団体に包括的に代行させることができる(行政処分であり委託ではない)制度である。

[From 指定管理者制度 - Wikipedia]

文京区の図書館の大部分は、既に指定管理者制度によって運営されているのは、前にも書いたとおり。

自分の今の居住地である文京区は、全部で11の図書館/図書室があり、そのうちの1館を除いて指定管理者による運営になっています。(2011年から、だったかな?)

[From 武雄市図書館と CCC のおはなし(個人的な雑感) - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

図書館は、直営のころから利用していたので、指定管理者による運営に変わったからといって、特に何かが大きく変わったという感じはなく、ただ単に窓口業務の顔ぶれが変わったよねぇ、ぐらいの印象しかなかったので、実際直営から指定管理者への移行ってのは

  • 「図書館」という器と、「蔵書」という中身は、そのまま引き継がれる
  • でも、オペレーションする人たちが変わる

というものだというのが、個人的な感覚ではある。


区が公開している指定管理者に対する評価報告書には、指定管理料とその内訳も明記されていて、4ヶ所の運営を受け持つヴィアックス・紀伊國屋書店共同事業体がおよそ3.3億円/年、6ヶ所の運営を受け持つ図書館流通センターがおよそ4.3億円/年で運営していることが明記されている。(区が支払っている指定管理料には、人件費以外に、水道光熱費や施設維持管理費、修繕費といったものも含まれているとか、学校に対する人的支援をやっているということとかは、この報告書を見るまで知らなかったヨ。)
大雑把に言うと、1ヶ所あたり年間8千万弱で運営されているという計算ですが、月1日と年末年始、特別整理で休館が何日かあるにしても、平日土曜は9-21時(日祝は9-19時)開館ということを考えると、まぁ妥当なのかなぁ、という気はします。
おそらく直営のままだったとすれば、この何割か増しの予算がかかっていたいたんじゃないかなぁ、と…。(記憶では直営時代は開館時間も19時までだったような…。)

それと、このへんを調べてる流れで指定管理制度に関する条例も読んでみたんですが、条例の中に

(個人情報の保護及び情報公開)
第九条 指定管理者は、管理の業務に関して個人情報を取り扱うときは、文京区個人情報の保護に関する条例(平成五年三月文京区条例第六号)を遵守しなければならない。
2 指定管理者は、その保有する管理の業務に係る情報の公開については、文京区情報公開条例(平成十二年三月文京区条例第四号)を遵守しなければならない。

[From ○文京区公の施設に係る指定管理者の指定手続等に関する条例]

という条文が入っていて、個人情報保護と情報公開をそれぞれの条例を遵守するよう指定管理者に求めているんですな。(個人情報保護条例、情報公開条例のどちらにも、指定管理者に対する扱いに関しての条文が入っているのも確認した。)
図書館の業務の中では、個人情報に触れることもあるでしょうし、住民側が運営上疑問に思ったことについて調べるための手段がはっきりしているのは、良いことだと思いますね。
気になって他の自治体の指定管理制度関連の条例もいくつか読んでみましたが、こういう条文が入っていないところも多いようで…。

では、件の図書館ではどうなのだろう?

で、武雄市図書館はどうなのか、というと

  • 指定管理料は、5年間で5億5千万円
  • 24年度に4.6億円(うち国の合併特別債2億円)の改装費を支出している

という状況。
開館日数や開館時間のことや指定管理料に何がどこまで含まれているのかが判らないので、単純な比較はできないと知りつつもあえて比較してみると、文京区では年間8千万弱で運営出来ているのに、武雄市は年間1億1千万。
さらにCCCには図書館内でやっている書籍販売・レンタル事業での収益も入ってくるので上手く運営できれば、とても美味しい状況に見えますよねぇ…。

少なくとも、指定管理料の中にどんな項目が含まれているのか、その各項目がCCC(特に、商業スペースとなっている部分に対して)に有利なるような形になっていないか、という点はよくよくチェックする必要があるんじゃないかと思っています。

にしても、最近はネットでちょっと検索すれば、いろんな自治体のいろんな条例が見つかるし、遠い自治体のものでも家にいながらにして読める上に、自治体間の違いを比較することも出来るなんて、とっても良い時代になったもんです。
#いろんな自治体のアレな議員の評判も伝わってくるしねぇ…。

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