図書館で資料の除籍数を調べてみました #takeolibrary

このところ、一部で盛り上がっている、武雄市図書館・歴史資料館の改装に絡んで除籍された資料の話題ですが、リストの内容もさることながら、リストに記載されされた資料数って、多いのか少ないのか、というのがいまいち判りにくいなぁ、ということで、実際に年度単位でどう除籍数が推移をしているのを図書館を利用して調べてみましたよ。

ある方の開示請求によって、 武雄市図書館・歴史資料館の改修にあたって廃棄された蔵書・視聴覚資料の一覧 が明らかになりました。
内容については細かく見て頂くとして、私がざっと見て、除籍していることを疑問に感じたものがいくつかあります。

[From サーバ管理者日誌 2014年04月21日]

まずは、自分の住んでいる文京区の状況を知りたいと思って、図書館のWebサイトに有るレファレンスサービスを使って、

  • 除籍基準を知りたい
  • 除籍資料数を知りたい
  • 除籍資料リストはあるか

ということを質問してみたところ、いずれに関しても資料はあるので見せられるし、除籍数については文京区のものも含めて、日本図書館協会が発行している日本の図書館 統計と名簿(日本の図書館 統計と名簿)という図書館所蔵の資料で確認できるという回答をもらったので、早速見に行ってきた次第。


武雄市図書館・歴史資料館の実態は?

最初に、武雄市図書館・歴史資料館のデータから行きましょう。
公開されている除籍資料リストでは、館の改装に際して約 9,000 点が除籍となっているわけですが、日本の図書館 統計と名簿の2011 年版から2013 年版を使って、 2010 〜 2012 年度の過去 3 年分を拾ってみたのが、下の表。

年度奉仕人口(千人)蔵書冊数(千冊)開架数(千冊)受入冊数除籍冊数
2010年度52179728,6741,286
2011年度511881358,8131,814
2012年度5120619017,6800

あれ?図書館協会に報告した数字、2012 年度は除籍 0 になってるんですが、はてさて?
この数字が正しいとすると、武雄市としては図書館協会に対して嘘の数字を報告したのか、2013/4/1 以降に除籍処理をしたというように解釈出来なくもないですね…。

もう少し細かく数字を見てみると、2010 年度も 2011 年度も受入冊数 >> 除籍冊数となっているので、所蔵スペースにはまだまだ余裕があったのではないか、ということが推測できます。あと、開架冊数がほぼ倍増しているので、図書館の運営方針を大幅見直しして開架冊数を増やす方向に舵を切った、と数字上は解釈してもおかしくない感じです。
#その成果が見えてくるであろうタイミングで、TSUTAYA と融合させられてしまった、ということか…。

改装のタイミングでの除籍冊数が、通年の4〜5年分に相当する、というのはちょっと異例、という感じはします。(もう3年分ぐらいさかのぼって数字を並べてみる必要はあるかも。)

他の自治体の状況は、どうなのだろう?

もちろん、武雄市だけのデータを見て論じてもいけないと思うので、他の自治体の数字もピックアップしてきました。

まずは、文京区。

年度奉仕人口(千人)蔵書冊数(千冊)開架数(千冊)受入冊数除籍冊数
2010年度1901,03784449,79120,750
2011年度1921,06385753,54437,967
2012年度1931,08986654,21228,082

数字を見ると、蔵書冊数、開架冊数、受入冊数は順調に伸びていますね。2011年度の除籍冊数が、ちょっと多いようですけど、保管年限が来たものをまとめて除籍した、なんて事情だったのかもしれませんね。これも、もう少し過去分のデータを並べると傾向が見えるかもしれません。
ただ、全体としてはスペースの問題もあってか、蔵書数の 2 〜 3% 程度が除籍されているような感じに見えます。

次、岡崎市。

年度奉仕人口(千人)蔵書冊数(千冊)開架数(千冊)受入冊数除籍冊数
2010年度36683955535,42910,006
2011年度36685756231,94510,371
2012年度36885555424,26515,315

ま、一時期話題になったところいうこともあって、パッと出てきたのがここだったのです。
2011 → 2012 で微減、って感じだったんですね〜。

最後、松原市。

年度奉仕人口(千人)蔵書冊数(千冊)開架数(千冊)受入冊数除籍冊数
2010年度12548134015,36826,231
2011年度12447333114,66321,693
2012年度1244578515,41731,667

えぇ?って感じに見えると思うのですが、2012年度の開架冊数は中央館と思われる松原図書館だけ記載されている状況でした。蔵書自体も、受入 << 除籍が続いているので、減少の一途…。
まぁ、松原市に関しては図書館がらみで色々と起きているというのは聞いていましたけど、数字として見せられると唖然とするものがありますね。

ここでは詳しく取り上げませんが、松原市で起きていることについては、下記のリンクを参照ください。

単に数字を並べただけでも

数字を拾ってきて、ちょこっと並べただけですけど、これだけでも図書館の動きって判るもんなんですねぇ。
武雄の除籍リストのことで図書館に興味を持たれた方で、自分の住んでるトコの図書館の状況はどうなんだろうと思った時に調べる足がかりとしては、客観的に見れる数字を追いかけてみる、というのは良いかもしれません。

今日はあまり時間が取れなかったので、それほど沢山のデータは取ってきていませんが、奉仕人数が同じぐらいの自治体で比べてみるとか、最近話題になるところの数字をピックアップして並べてみたいですね。時間が出来たら、やってみたいと思います。

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