こんな運営の通販サイトで大丈夫か?(その2) #JAPANsg

有志が福岡市に対して開示請求をかけていた食肉販売に関する件、行政から食品衛生法違反ではないというお墨付き出たものの、

SIIIS社は食品衛生法違反ではありません。なぜなら、JAPANsgの販売方法では食肉販売業に該当しないから。

でもね、でもね、でもね、「商品無し」「店舗無し」「倉庫無し」で受付事務だけやって上前を撥ねる、それって単なる「ドロップシッピング」ですよね?別にJAPANsgじゃなくても出来るんじゃないですか?

[From SIIIS社は「シロ」です!なぜなら… | 海馬への境界線]

単なるドロップシッピングであったということが、行政により証明される事態になってしまった模様。> JAPANsg

詳しい話はリンクしてあるのでそちらを見てもらうとして、かいつまんで説明すると、

  1. JAPANsgで生の鹿猪肉の扱いが始まる。 → 食肉販売の許可って取ってるの?
  2. JAPANsgの実態の運営者であるSIIIS(本社:福岡市)が、食肉販売に関する許認可を取得しているかを、福岡市に対して情報開示請求。
  3. 福岡市から「許認可していない」という行政文書を取得する。
  4. その行政文書を参考資料として、「JAPANsg が許認可を受けずに食肉販売を行っている可能性がある」と、福岡市に通報。
  5. 福岡市が、実態調査のため運営者であるSIIISに訪問。
  6. その結果が報告書として残ることを確認した上で、その報告書を再度情報開示請求で取得。
  7. 福岡市が行った実態調査の報告書に「顧客からの注文を受け,生産者に連絡し,生産者が注文者へ宅配便で商品を届けている。」と記載があることを確認。

という感じ。

個々の地域sgで見れば那須sgのように在庫を抱えているところもありますが、F&B良品ホールディングス(実務主体は、SIIIS)自体は右から左に注文を流して手数料をもらっているだけだろ、という前々から指摘されていたことが、行政資料によって裏付けられたという結果になったわけです。
運営サイドとしては、それだけじゃないって反論があるかもしれませんが、サイト自体の運営見てても粗が目立ちます(年末年始の休業期間が誤ったままだったとか)し、各所からの開示資料に記載がある「SIIISでコールセンターを設置、商品に精通した担当者が対応している」という部分は実態も不明、そもそも全国に散らばる地域sgの全商品に精通している人員がいること自体が疑わしいですしねぇ。


注文までの流れを追ってみると…

さて、ドロップシッピングの話はちょっと置いといて、サイト側の作りの話に。

イロイロ見てて気になる点がでてきたので、JAPANsg で何か注文してみたときのサイトの動きをムービーにしてみたのが、下のもの。
言葉では説明しにくい部分もあるので、実際の流れを見せた上で説明したほうがいいだろうなぁと思って、作ってみました。(サンプルとしては、武雄sgで扱っているぱくらいすセットを使用。)

武雄sgでの注文時の流れ from Soukaku TATARA on Vimeo.

アクセスした状況を QuickTime で取り込み、それを iMovie に持ってきて、気になる点にはキャプションを付けてありますが、もう少し細かく掘り下げてみましょう。
#そういえば、1024×768だと商品説明ページで横スクロールが必要なこと、コレ作ってて初めて気がついたよ…。

00:40〜00:50:特集ページからダイレクトに注文できない

まず目立つところ(と言っても一時期はやったネットブックで見たら隠れそう)にある特集ページのバナーをクリック。
この特集ページ、せっかく細かく商品説明していたり、レシピが書いてあったりするのに、ここでダイレクトに注文できるよう導線が作られていないんですよね。既存の商品説明ページヘのリンクもありません。売るという観点で見たときに、「買いたい」と思わせたら、即注文に出来るような作りにするほうが売上につながると思うのですけどね。その辺りは EC に詳しい人に聞いてみたいところ。

00:50〜00:56:特集ページからトップへの戻りリンクに古いドメイン名を使用

細かいところですけど、特集ページからトップに戻るためのリンクで指定されている URL が、JAPANsg の昔の名前だった FB良品のドメイン名で書かれています。Webサーバ側の設定なのか、正しい URL にリダイレクトされるようにはなっていますが、ドメイン名までもリニューアルしたんだったら img タグなどでドメイン指定している部分は、全部新しいドメイン名で置き換えるのって、絶対行うと思うんですけどねぇ…。(ちなみに、JAPANsgへリニューアルして3か月以上経過してから作られたページなんですけどね、この特集ページ。)

01:00〜:注文すると、makeshop.jp のサイトに遷移する

トップから実際のぱくらいすセットのページヘ。
商品説明ページにある"すぐに注文する"ボタンをクリックすると、カートに商品を追加、自動的に注文者情報の入力画面まで進みます。途中、japan-sg.jp ドメインでのカードが表示されますが、直後になんの説明もなく makeshop.jp ドメインのサイトに切り替わります。
さて、ここで唐突に出てきた”makeshop.jp”というドメイン名。これは"MakeShop" というGMOグループが運営するネットショップ運営ASPサービスが使っているドメイン名。まぁ、武雄市絡みの問題を追っかけている人にとっては、既知の事実ですけど、「JAPANsg は、MakeShop というネットショップ開業サービスを使った通販サイト(かつドロップシッピングサイト)」というのが、実態なのです。

MakeShop のサービスとしては、決済画面などで独自ドメインでの SSL 証明書の使える カスタムMakeShop サービスも用意されてはいるんですが、注文者情報の入力画面が makeshop.jp ドメインのままですし、SSL 証明書も makeshop.jp のものですから、(それなりにお高い)カスタムMakeShopではなく、プレミアムショップ というプランを各地域sgごとに契約してるんでしょうな、おそらく。

ショッピングカート機能や、ユーザ管理、代金収納といったASPサービスの機能を使って通販サイトを仕立てているだけですから、ぶっちゃけF&B良品ホールディングス(≒ SIIIS)に任せなくても、JAPANsgと同じような「自治体運営型通販サイト」は作れるでしょう。各地域で対応できる/やる気のある会社があれば、実際には不可能ではないでしょうし、地元の会社を使ったほうが、商品選定や出品の頻度を上げたりといったこともやりやすいんではないでしょうし、サイトとしても面白いものが出来るんじゃないでしょうかねぇ…。(やり方次第では、雇用も作れる?)

で、こんな運営の通販サイトで大丈夫か?

イロイロ書き散らしましたけど、実態が「ドロップシッピングである」、「独自のショッピングシステムではなく、ASPサービスを利用している」となってくると、ある自治体の決裁文書([錦町]H25-11-07 錦町指令第205号 H25-08-12 起案文書.pdf)に記載されている随意契約の理由、

  • 本システムはF&Bホールディングス企業連合が開発しており、バージョンアップ等の保守は同社しか出来ず、よって同社との随意契約とする。

というのは、業者選定手続きという面で非常に無理があるんじゃないでしょうか。上に書いたとおり、F&B良品ホールディングスが独自に開発したシステムを使っているわけではないのですから。

問題といえば、通販機能に関しては MakeShop を利用しているということを、各参加自治体も利用者も知らない、という点も問題では無いでしょうか。
各自治体はF&B良品ホールディングスとの契約ですが、実態としてはシステムの最重要機能である通販機能のほとんどが MakeShop に頼っているにも関わらず、その点は伏せられているわけです。
対利用者という面でも、JAPANsg の個人情報保護ポリシーには

2. 収集された個人情報は当社のサービスを提供するために必要な限度においてのみ利用し、次の場合を除き、いかなる第三者にも提供致しません。

[From 個人情報保護ポリシー(プライバシーポリシー) | JAPAN satisfaction guaranteed]

と記載されていますが、MakeShop のサーバに対して注文者情報を入力したり、継続利用者としてユーザ登録する時点で、個人情報がGMOグループ側に渡るということと、ポリシーの文言との間に齟齬があるように個人的には感じているのですが…。
#MakeShop を利用している他の通販サイトのいくつかで利用規約を見てみましたけど、「MakeShop に利用者情報が渡る」といったことは書いてなかったですけど。

MakeShop 側にトラブルが発生した時、例えば makeshop.jp 側のサーバが不正アクセスの被害を受けて、利用者情報が流出といったことが起きた場合、どうなるでしょう?
想定されることとしては、何よりも真っ先に「全利用者に対するお詫びが、GMOグループからなされる」のではないかということ。
「自治体運営型である」という点を信頼して、各地域sgで注文した人達から見れば「何故GMOグループからお詫びが届いたのか、わけわかんない!」とか「なんで、真っ先に自治体から連絡がないんだ!」という状況が起きえるのではないかと…。

そして、そのような状況になった際に、GMOグループからの状況報告や連絡、ユーザからの問い合わせに対して、F&B良品ホールディングスは適切にタイムリーに対応することが出来るのでしょうか?
また、F&B良品ホールディングスから全参加自治体への説明や、各自治体から利用者への説明はどのように行われるのでしょう?

何事に対しても最悪を想定して対策しておけ、ということが無理なのは重々承知ですけど、以前あった FB良品のリニューアルで MakeShop への移行時に発生した XSS 騒ぎの時の樋渡市長の対応を見てると、ちゃんとした対応やアナウンスが行われるのか、とても不安を感じる部分ではあります。

気にし過ぎなのかもしれませんけど、ねぇ…。

トラックバック(4)

ということで、前回のエントリーの続き。   ちょっと、今細かく掘り下げる気力がないので、メモ的につぶやいたものを魚拓しておいたので、今日の時点ではそちらを見ていただければ…。 もう少し... 続きを読む

結局、オープンすることになったようですね…。>郡山sg 自治体運営型のウェブ活用通信販売サービス「郡山sg」が、3月26日(水曜日)開店します。 [Fro... 続きを読む

チラホラと、個人情報漏洩の話が、ニュースになって流れていますが、今日見かけたのがこんなやつ。... 続きを読む

GMOメイクショップからの個人情報漏洩絡みで、自治体特選ストアにも波及するんじゃね?って書いたわけですが、 もし、漏れていたとして、これらの情報漏洩が起き... 続きを読む

コメントする