#JAPANsg と自治体と甘い契約内容と

ということで、前回のエントリーの続き。

ちょっと、今細かく掘り下げる気力がないので、メモ的につぶやいたものを魚拓しておいたので、今日の時点ではそちらを見ていただければ…。
もう少し落ち着いたところで、まとめたいと思います。

[From #JAPANsg と自治体と契約と - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

注文フローを確認してみよう

まず、JAPANsg から各自治体向けに提示されている資料の中にある、各地域sgの仕組み と言われている図。
#郡山市から開示された資料からの引用ですが、市の名前間違えて提示しているという時点で、大変失礼な内容…。

郡山市に提示されたフロー図

この図で、不可解なのは、注文者が「商品を注文」するという矢印が「佐川急便」に向いている点。
各自治体が業務を委託しているのは、F&B良品ホールディングスであって、「佐川急便」ではありません。注文のあった商品の回収や配送、コールセンター業務なども佐川急便が行うように図では書かれていますが…。


で、実態はこうなのではないか、というのが、こちら。
JAPANsg 側から提示されているフロー図に、実際に使われているのに名前の出てこない MakeShop を入れ込んで、矢印なんかも整理してみたものです。
矢印の色は、赤:お金、黄色:情報、グリーン:商品、薄い紫:コンテンツ関連、黒:商品選定関連の流れのそれぞれを示しています。

#JAPANsg 商品販売フロー(私家版-20140205)

Google Docsで作った原本は、こちら

注文については、実際はWeb上で行われるわけですから、JAPANsg (実際は各地域sg)のページに注文の矢印が向くのが正しいでしょう。
その注文処理を行う部分については、MakeShop の機能を使っているのは、別のエントリーで書いたとおり。

商品代金の支払いのためのレジットカード情報や送付先住所などを入力するのは MakeShop 上です。また、決済情報は JAPANsg 側の提示するフローのように購入者からカード会社直接行くのではなく、一旦 MakeShop 経由になるはず。(なので、購入者→カード会社の矢印が、MakeShop に重なるように引いてあります。)

JAPANsg 作成のフローでは受注情報が「佐川急便」側から運営委託業者に上がってくるようになっていますが、実際にはその逆で、MakeShop から上がってきた販売情報は、SIIIS が受け取り、佐川急便に集荷を依頼する、というのが本来の流れじゃないじゃないかと思います。

改めて、疑問点を整理してみる

ここまで見てきて、気になる点を改めて整理してみると、

  • MakeShopの利用と、佐川急便は担当するとされている一部業務(配送、コールセンター)は、再委託に該当するか否か?

という点ではないかと思うますが、どうでしょう?

実際に契約書上どうなっているのか、既に明らかになっているものの中で、薩摩川内市とF&B良品ホールディングスとの間で交わされた運用等委託契約書を参考して見ていくことにしてみます。契約書の内容自体は、年度、相手の自治体に関係なくほぼ同じ内容(金額や期間は除く)なのは、確認済みです。
#その点から言って、F&B良品ホールディングス側が用意した契約書に判を押すのだけが、自治体のお仕事?

再委託に関しては、

(権利義務の譲渡の禁止)
第2条 受注者はこの契約によって生じる権利または義務を第三者に譲渡し、または承継させてはならない。ただし、発注者の書面による承諾を得たときはこの限りではない。

という条項と、契約書別記 個人情報取扱特記事項に記載されている

(再委託の禁止)
第7 乙は、甲の承認があることを除き、この契約に因る個人情報を取り扱う業務を第三者に委託し、又は請け負わせてならない。

この2つが該当すると思われます。
どちらでも、発注者である甲(薩摩川内市)の承諾を得ることで第三者に業務の一部や個人情報の取扱を委託することが可能であると、解釈することが出来ますが、実態としてはそれに類する書類の開示はなされていません。もし存在しているのであれば、契約書の附属書類として開示されてもおかしくないものだと思うのですが、現時点ではそれらしき書類が開示された自治体はありません。

通販という業務をやる上では、注文者の個人情報の取扱は必須です。
JAPANsg という仕組みにおいては、ネット通販機能の殆どを MakeShop で、商品集荷・配達(さらにコールセンター)に佐川急便を利用しているのが実態なわけですから、MakeShop と佐川急便に対して業務の一部委託と個人情報取り扱いの委託をしているということを、書面で自治体に伝え、承諾を得る必要があることはなのではないか、と思うわけです。提案資料に書いてあるから良いということでもないでしょうし、そもそも MakeShop を利用していることすら、自治体は知らせているフシはありませんから、契約書の解釈的には無断で再委託していると取られてもおかしくない状況ではないかと…。

余談、かもしれませんが…

ここ数日の一連のエントリーを書く上で、JAPANsg と自治体の間の業務委託契約書だけでなく、各自治体が用意している「標準的な」業務委託契約書も幾つか目にしてるのですが、その流れで気になったことが一つ。

コレは、松阪市のWebサイトで見られるものなのですが…。

物品売買・その他業務委託(賃貸借を含む)契約においては、以下の契約条項にて原則契約書を作成します。

※平成22年7月1日より以下の条項を使用いたします。
(暴力団等の排除に関する措置を追加、及び、独占禁止法違反に関する条項強化を行います。)

[From 物品・業務委託契約書の条項 | 松阪市]

と記載された過去のお知らせが存在しています。現在公開中の物品・業務委託契約書の条項のページでは、「暴力団等の排除〜」の一文こそ消えていますが、そこからリンクされている業務委託契約書の条項(29KB)(PDF文書)には、しっかりと暴力団対策法に関連した条項(第15条の2)や特記事項が盛り込まれています。

ところが、JAPANsg の契約書中には、それらに該当する条項・特記事項はありません。
もっと細かく見ると、再委託に関する条項は松阪市が用意しているもののほうが厳しくなっているようですし、条文で取り決めのない事項については松阪市側の関連する条例や関連法規に従い協議を行い決定するという記載がありますが、そのような条項は JAPANsg の契約書では見ることは出来ません。ちなみに、いくつかチェックした自治体の標準的な契約書は、松阪市の方の内容に近いものがほとんど。
#暴力団云々、というとゆびとまの騒動を思い出さずにはいられない…。

契約書自体がF&B良品ホールディングスの用意したものをそのまま使っている上に、さらに随意契約であるということも考えると、F&B良品ホールディングスに対する行政側の対応はザルなんじゃないか、という感想しか出てきません。(武雄市が絡んでいるから、ということなのかもしれませんけど、甘すぎるにも程があるのではないかと。)

と、ここまで書いたところで、実は昨日新たなる情報が開示されたことを知りました。まだ、その情報については読み込めていないので、その件については別のエントリーで取り上げることにしますね。

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