#文京区 議会による #武雄市 視察の報告書が、ようやく公開されたので

関連資料は、情報開示請求で入手済みだったのですが、ようやく正式な視察報告書が、公開されました。

開示請求の際に、議会事務局の担当者からは「10 月頃位は」という話が出ていたのですが、結局公開されたのは 11 月も半ばになってからでした。(公開しているページの最終更新日は、 11月 14 日付け。)

視察報告書のほうは、現時点で視察メンバーによる原稿作成中で、その後事務局での内容の取りまとめや校正といった作業が入るため、公開できるのは早くても 10 月ぐらいになりそう、とのこと。ただし出来上がり次第、区議会のWebページで公開されるということなので、視察報告はそれを待つことにしました。

[From #武雄市 視察の件、情報公開請求してみました #文京区 - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

報告書の公開を待っていたのは、以前も書いたとおりで、資料からは読み取れない情報も、視察報告書に出てくるであろう、と思っていたから。

議員による視察報告書に関しては、鋭意作成中、という状況なのは前に書いたとおりではあるのですが、こうなってくると参加した各議員がどのようなことを感じたのか、という点に、興味が出てくるわけです。

[From #武雄市 視察関連で開示された資料をチェックしてみました #文京区 - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

報告書を読んてみて、気になった点をいくつかピックアップしてみます。


ツッコミどころ気になった点は…

さて、実際に読んてみて気になったところですが、

1 フェイスブックについて
平成23年に、市の公式ホームページをフェイスブックに一元化した。理由は、実名制、誰でも見ることができるオープン性、拡張性、双方向性、そして機動的であるため。その結果、市民が日常生活の中で市の情報を受け取ることができるようになった。

[From 平成 26 年度 文京区議会総務区民委員会視察報告書]

まず、一元化、という部分がおかしい話で、「ストック」の部分は相変わらず city.takeo.lg.jp ドメインを利用していますね。lg.jp ドメインが取得できるのは地方自治体だけですから、「 lg.jp ドメインを利用していること」=「地方自治体が開設するサイトである」という正当性が担保という側面もあるわけです。
行政側から速報的に情報を流すためのツールとして Facebook や Twitter を利用するのは良いのですが、後々その内容を探しだすのは結構大変な作業になったりします。Facebook などで告知した情報の詳細は lg.jp ドメイン側にちゃんとストックしておいて後日参照し易くしておく、という感じで、それぞれの特性ごとに、うまく使い分けてもらえれば良いのではないかと思います。

それと、アメリカの一企業のサービスをメインに据えてしまう事自体、サービス側でトラブルが発生した場合に手を出せなくなったり、受け入れがたい規約変更が行われたも受け入れざるを得ない、最悪の場合サービス自体の利用をブロックされる、といった行政側からはコントロール出来ないリスク要因を抱え込むということは理解しておく必要はあるでしょうね。

2 オープンデータ事業について
 樋渡市長の指示の下、住民に情報を活用してもらうために行政文書をウェブ上に公開 するオープンデータ事業が進められている。
 平成 25 年度、総務省の「地域経営型包括 支援クラウドモデル」の実証事業に取り組み、 安心・安全に係る行政情報を一元的に発信・ 共有するともに、地図情報ポータルサイトを 活用して市内のAEDの配置場所を記すな ど、防災や観光などに運用している。事業費は、システム構築費、クラウド環境使用料など1億1千万円余である。

[From 平成 26 年度 文京区議会総務区民委員会視察報告書]

行政文書のオープン化は、外部から見るに進んでいるようには見えませんね。それ以前に、情報公開請求での遅延が多発していることを改善する事のほうが先決のような気がします。
「地域経営型包括 支援クラウドモデル」は市役所内限定で利用されているんでしょうかね? AED の設置場所がマッピングされた情報は市民にとっても有用な情報ですから、広く利用可能な状態になると良いと思うのですけどね。

Q:フェイスブック良品ということで、いくつかの自治体で連携し、各自治体の「良品」を、フェイスブックを活用しながら全国へ発信し、売上げを向上させていると聞いているが、現状について伺いたい。
A:現在、21 自治体と組んで各地の商品販売を手がけている。「そこにしかないモノ」がよく売れているのではないか。
 自治体が行う意義は、自治体が商品を扱うことで「安心」を消費者に与えることができ、また、何より出店者がネット上に商品を載せる手間を省くことができることにある。
 地域の小さい事業者・商店が、「良品」を自力でネット上に商品をアップするには、相当な手間暇が掛かる。それを手助けするということ。現在、「良品」は70 品目にのぼる。

[From 平成 26 年度 文京区議会総務区民委員会視察報告書]

「フェイスブック良品」( FB 良品?)と言っていたのは 1 年以上前の話ですね。
FB 良品 、 JAPANsg を名乗っていた頃は、各自治体のページに Facebook のタイムラインが表示されていましたけど、現行の自治体特選ストアになってからは Facebook ページヘのリンクはあるもののタイムラインの表示はなくなりましたから、 Facebook を活用しているとは言いがたいかと。
実際の売上に関してもは惨憺たる状況なことは、既に判明しているとおりですし、税金の投入額に対する売上や知名度向上の効果の低さから三島市のように自治体通販の仕組みから降りた自治体も出てきている状況です。

「良品」は 70 品目という説明があったようですが、視察時期の実際の出品数は 113 品目だったので、実態と食い違いがありますね。(後半の品田議員のコメントの中では「180 品目」とあるので、更に数字がおかしい。)

Q:虚名でフェイスブックに投稿する人への対応はどうしているのか。
A:投稿には、「すぐ返事をする」のが基本である。問題は、担当者 1 人では無理だということ。  虚名での投稿は、「フェイスブックポリシー」を守らないということで、認められない。削除していくことになる。

[From 平成 26 年度 文京区議会総務区民委員会視察報告書]

実名制という部分についても アメリカでは崩れつつあるようですから、Facebook が規約上、実名でない利用者も許容するのであれば、それも武雄市もそれを許容していかなければならないでしょうね。
Facebook の利用規約では、「Facebook の利用規約とコンフリクトするような利用ポリシーを掲げても、Facebook の利用規約が優先する」となっていますので、今後 Facebook が利用者の名前に関する規約上の制限を緩めた場合には、武雄市もそれに従う必要が出てくるわけです。

まぁ、実態は「市政に都合の良いこと書く」虚名は放置、「市政に都合の悪いことを質問する」虚名はブロックですから、「虚名」への対応自体に公正性がない時点で話がおかしいでしょう。
実名で問題点指摘しても、返信がないことも経験済みですし。( Google マップの使い方が規約違反じゃないかを指摘した件。)

Q:フェイスブックでは、実名でのやり取りになる。問題はないのか。
A:実名でのやり取りによって、「正確さ」よりも「アクティブさ」が向上する。そこに広告価値も生まれる。

[From 平成 26 年度 文京区議会総務区民委員会視察報告書]

実名でも平気でデタラメ書いたりする人がいるのに、正確さを重視しないという姿勢には問題があるような気がしますが…。

ここで、「実名制 v.s. 匿名性」の話をするつもりはないですけど、実名だけど「書いてあることは出鱈目」であれば否定する、削除すると言った対応をするべきですし、匿名だけど「正しい内容」であれば、その意を汲み取った対応をするのが、行政として正しい動きではないかと思います。

ただ、武雄市界隈では、匿名で市長の政治手腕を批判していたブログが閉鎖に追い込まれた事例もありますし、都合悪いことを指摘してきた実名の人に対して、市長自ら「国会議員を通じて、職場の上司に言いつけてやる」という圧力をかけようとしたことが実際にあったわけですから、実名匿名を問わず問題点を指摘すると、圧力が掛けられるかもしれないというリスクが伴う状況なわけです。
また武雄市には情報発信に関するガイドラインがあるにも関わらず、市長や市職員が率先してそれに違反するような行為を行っている事のほうが、よほど問題ではないかと思うわけです。

参加議員の感想のほうですが

視察報告の後半は、参加した各議員の感想になっているわけですが、どちらかと言うと「くまモン」に関しての感想のほうに力が入っているよう感じました。
その中でも金子議員の感想が、武雄市における Facebook の利用実態を適切に捉えているように思います。

武雄市のSNS活用とオープンデータ活用施策は、多分に実験的な要素が強く、明暗併せ今後の更なる検証に期待したいと感じた。一方、議会議事録の速報版を即日に 発行している取組や行政の意思決定に関わる全ての過程の情報を公開していく方針 であるとの説明に、情報公開が議会制民主主義を徹底していく当然の発展の方向性で あるとの視点を補強する有効な材料を得たと感じた。

[From 平成 26 年度 文京区議会総務区民委員会視察報告書]

議事内容や議事進行の仕方などは別問題としても、議会議事録の即日公開や Ustream を利用したリアルタイムでの議会中継の実施については見習うべき点としてもよいとは思います。
一方で、マスコミによる報道が先行するよう記者発表を行い(図書館の件も公教育改革の件も、そうでした)、その後アリバイ作りのように市民向け説明会を行うという手法を多用していることが、本当に「行政の意思決定に関わる全ての過程の情報を公開」していることになるのか、ということはよく考える必要があるのではないでしょうか。

少なくとも、武雄市が公式に発表する内容だったり説明する内容だったりが、実際の内容と矛盾することが多いというのは、有志の努力による情報開示請求の結果により裏付けられていますから、そういう面でも注意すべきでしょう。
#有志による情報公開請求の結果から、グッドデザイン賞応募に関する問題や、市長の旅費の取扱いの問題などが判明いますね、そういえば。

武雄市を何らかの施策の手本とするために視察をすることは良いとは思いますが、説明されたことだけを鵜呑みにすることは危険だと認識しつつ、問題点として指摘されていることを無視することないよう、議員、自治体職員の方々にはお願いしたいところです。
勿論、住民の側からもおかしいと思うことには「おかしい」と、はっきり意思表示していくことも必要かと思います。

参考

情報開示請求で入手した武雄市視察に関する資料、再掲しておきます。(半分は、旅費に関するものですが。)

武雄市を取り巻く諸々の問題については、こちらからどうぞ。 → #たけお問題 リンク #武雄市問題

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