赤字の原因は、どんぶり勘定? #takeolibrary

武雄市図書館・歴史資料館が、CCC による指定管理での運営に切り替わって、約1年が経過するわけですが、

指定管理者として初年度は赤字だったことも明かした。「来館者数50万人で想定していたが、100万人規模できた。対応するために、CCCの社員が応援で入ると赤字になってしまった。読みが甘かった。2、3年経てば、ある程度落ち着いていくと思っている」

[From 武雄市図書館「経済効果は広告換算だけで20億円」 プチリッチ層流入をねらうCCCの町づくりとは?]

というらしいですね。
そもそも図書館管理業務と書籍販売業務+レンタル業務+カフェ業務をきっちり区別せずに運営したことが、一番の問題点なんじゃないか、と素人目には思うわけです。

蔵書の排架や点検、新規購入蔵書の受け入れやレファレンスといった業務は、雑誌販売やカフェの片手間にできるものではないでしょう。
最初から図書館業務の専任チームと、それ以外のチームに分けて運営に当たるべきであって、「司書が、ブックコンシェルジュとして販売にも携わります」みたいな形にしてしまった時点で間違ってると思うんだよね。(コストセンターとプロフィットセンターをごっちゃ混ぜにしているんだから。)

さらに「CCCの社員が応援」に入れたところで、図書館管理業務の素人が更に増えただけで、「デスマに人突っ込んだ結果、更に炎上」と同じような状況に陥ったんじゃないかと…。

「100万人規模での来館者」と言ってますけど、実態は図書館としてではなく「マガジンカフェ」としての利用者のほうが実際には多かったのでしょうし、その来館(来店?)者の数をもってしても、書籍販売が惨憺たる結果だったんじゃないかと勘ぐってしまいますけどね。(レンタルの方も、あまり売上が良くなかったのかも。)


以前、書いたのだけど、文京区内の図書館11館のうち10館が指定管理者による運営で、1館あたりの年間運営経費は8千万弱。

開館日数や開館時間のことや指定管理料に何がどこまで含まれているのかが判らないので、単純な比較はできないと知りつつもあえて比較してみると、文京区では年間8千万弱で運営出来ているのに、武雄市は年間1億1千万。

[From 利用者からみた「指定管理者が図書館を運営するということ」 - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

本当の意味での「図書館管理業務」だけをやっていれば、1億1千万の指定管理料で赤字になるかならないか、ギリギリの線だったのかもしれませんけど…。

武雄市の条例でも、指定管理者に対しては、毎年事業報告書を提出する義務が課せられています。これを見れば、色々と判ってくる情報もあるでしょう。
もちろん、公文書として扱われるものになるでしょうから、情報公開請求を使えば入手できるんでしょうし、なんだかんだと理由をつけて非公開にすべきものではないでしょう。
#多分、虎視眈々と狙ってる人に、心当りがないでもない…。

(事業報告書の作成及び提出)
第7条 指定管理者は、毎年度終了後市長が定める期間内に、その管理する公の施設に関して次に掲げる事項を記載した事業報告書を作成し、市長に提出しなければならない。ただし、年度の中途において第9条第1項の規定により指定を取り消されたときは、その取り消された日後市長が定める期間内に事業報告書を提出しなければならない。
(1) 管理の実施状況
(2) 利用状況
(3) 利用に係る料金の収入の実績
(4) 管理に係る経費の収支状況
(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が特に必要と認める事項

[From 武雄市公の施設の指定管理者の指定の手続等に関する条例]

特に、収入実績や経費の支出状況といったものには、注目でしょうね。
#まぁ、問題は内容のある事業報告書が提出されるかどうか、という点は気になるところですが…。

「武雄市図書館をモデルに」という話もありましたけど、すでにモデルとは足り得ない状況だと思うので、それを真似しようとしている自治体は、とっとと舵の切り直しをしたほうが良いんではないんですかね。

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やっと、というか 平成 25 年度の武雄市図書館・歴史資料館の指定管理業務に関する収支表が出てきましたね。 水道光熱費もすごいことになってるんだが、蔦屋や... 続きを読む

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