自分の身近な図書館について考えてみる #文京区

以前取り上げた時は、さらっと流してしまったのだけど、橋本議員がブログに書いていた、

学校図書館、地域図書館、書店との提携によって近隣の結束を高め、自習室、セミナーハウスを各所に設けることによる地元住民の知識共有、向上を図り、更には喫茶店やコーヒーショップを併設することにより多くの住民が足を運び易い環境にし、子供たちとの触れ合いの場、学習の場、会合の場に公立図書館をしたいと私は考えております。
そのためには各図書館の書物量を減らす必要がありますので、現在の真砂中央図書館の役割は見直さなくてはなりません。

もっと大きくて広い中央図書館が文京区には新たに必要でしょう。

[From TSUTAYA図書館から見た文京区|文京区議会議員 橋本直和 オフィシャルブログ]

この部分について、自分なりに現状を考察してみようと。(前提として、新しい建物は建てない、としておきますか。)

そもそも、文京区にある図書館のうち、下にピックアップした館は他の施設との併設なので、集会室的なものが同じ建物内にあったりしますね。

  • 地区センターなど他の区の施設などと併設
    • 本郷図書館
    • 本駒込図書館
    • 千石図書館
    • 湯島図書館
    • 根津図書室

建物全体としての運用の柔軟化をすることで、橋本議員の目指すところの半分ぐらいは実現できるのではないかと思いますが、現時点で学習室的スペースがない館もありますし、あわせて喫茶スペースを設けるにしても、施設全体での見直しが必要になるでしょう。
自分がよく行く本郷や千石は、建物自体の規模がそう大きくないので、学習室機能を付与する、喫茶スペースを設けるとすると、集会場的機能のスペースを削るか、図書館そのものスペースを削るかという議論になっていくのはないかと思われます。

蔵書数とスペースに関してですが、手元に 以前調べ物した時の資料が残っていたので、そこから文京区の各図書館の延床面積と蔵書数とそのうちの開架数を拾って表にしてみました。(2012年度のデータです。)
開架率は、データとして載っていないものなので、自分で計算。

館名延床面積(㎡)蔵書数(千冊)うち開架(千冊)開架率(%)
真砂中央289318012971.67
本郷985998888.89
小石川1,99415814491.14
本駒込1,30211710085.47
水道端1,77217312169.94
目白台9451097770.64
千石9771208369.17
湯島487686392.65
根津2002121100.00
大塚公園みどりの142211885.71
天神217242395.83
合計1,08986679.52

ということで、こうしてみるとかなりの割合の蔵書が来館者の目に触れるような形になっているんですね。
こう見ると、真砂中央、小石川、本駒込、水道端がスペースの割に蔵書数が少なく感じますけど、そこには視聴覚ホールがあったり、常設の読み聞かせ室があったり、閲覧スペースが広く確保されていたり、ということも関係していますので、単に数字だけを見て良い悪いを論じる訳にはいかないでしょう。

蔵書数の推移は、以前取り上げたものを参照してもらうとして、だいたい年 2 万冊のペースで増えていっているようですから、各図書館それそれ工夫して蔵書のためのスペースを作っていっているのではないかと思われます。

次に、文京区。
2009 年度と 2010 年度の間で蔵書冊通のつじつまが合ってないような気がするんですが、その点を除けば、まぁ順調に蔵書冊数か開架冊数も増えているのがわかります。

[From 図書館資料の除籍数を、さらに調べてみた #takeolibrary - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

「スペースを捻出する」ということであれば、書架と閉架分の保管スペースを削るのが手っ取り早い手法でしょうが、利用者の視点から考えると書架が減れば真っ先に分かりますし、書架が減る=開架されている蔵書も減るということですから、図書館としての機能は低下したという印象を与えかねないことではあるので、慎重に考えていく必要はあるでしょう。
高層書架にすれば書架スペースは拡大できるでしょうけど、建物自体の天井高や床の耐荷重量制限が問題になってくるでしょうから、これまた難しいのではないかと。
(どこぞの図書館のように、高層書架で子供の手が届かないところに絵本が排架されるような状況は、考えたくない選択肢です。)

あと、各図書館の案内にもあったりするのですが、

ハヤカワ文庫全点揃い!!
SF、NV、FT、NF、HM、JA各シリーズの第一巻から揃っています。多すぎて配架できないものは、地下の共同倉庫に大事に保存しています。

朝日グラフは大正12年から!!
大正12年11月から平成13年10月まで共同倉庫に大事に配架しています。古いものは少し傷んでいますが、大戦前後の日本を知ることが出来る貴重な資料です。

[From 水道端図書館 | 文京区立図書館]

民俗・民族学関係の資料は区内一のコレクションを誇り、外国語に関する資料も豊富です。住宅地の図書館として、健康や冠婚葬祭、旅行ガイド、ペット、ガーデニング、身の回りの法律の事など、衣・食・住に関する毎日の生活に欠かせない情報を提供する場となるよう、スタッフ一同心がけています。

[From 本駒込図書館 | 文京区立図書館]

と館毎の収集担当となっている資料類を、その館の特色としてところもあるので、そういった特色ある蔵書をどうしていくのか、といったことは考慮していただきたいところ。

個人的には、指定管理者制度での図書館運営については問題視していないので、運営自体はこのままでも良いと思ってます。単一の指定管理者でないという点のは、指定管理者間での競争を促すという利点があるでしょうし。(ただし、行政からの業務仕様の範囲での話になりますが。)

ぶっちゃけ、新しい図書館を建ててしまえば、色々と物事を動かしやすくなるんだろうなぁ、とも感じるわけですが、それはそれで「どこに建てるの」から始まる訳で、平気で 5 年はかかるんだろうなぁ。

余談というか…

文京区では、文の京デジタル文庫というものがありまして、

利用者の皆様が図書館に直接来館することなく、イン ターネット上から閲覧することで利便性を向上させるとともに、原資料を長期的に安定した状態で保存すること、また後年に原資料を複製するための元データを 作成しておくことを目的として作成しました。是非、利用者の皆様の調査・研究 にお役立てください。

[From 文の京デジタル文庫 | 文京区立図書館]

行政に関連する資料については、こういう形で公開していくことで、資料の保管スペースの減少を抑えて行くことは出来るかもしれません。

その中には、図書館の現況をまとめたぶんきょうの図書館も過去分を含めて収容されているので、数値的なものはそちらを当たるということも出来ます。(データ部分は、csvとかで公開してくれると、もっとありがたいですけどね。)
興味のある方は、そちらを参照していただけると、良いかもしれません。

実際のところ、中央館として機能している真砂中央図書館は改修の話が出ていますし、図書館サービスに関しても平成26年度の重点施策の中で予算が付いている状況ですから、今後色々と動きが出てくるでしょうから、チェックは怠れないなぁ…。

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このところ、図書館における「選書」が話題となって(局所的に)盛り上がっていますが... 続きを読む

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