新しい多賀城市立図書館と蔵書ほか諸々 #公設ツタヤ問題

前々エントリーと前エントリーでは、高層書架のことだけになってしまったんですが、勿論高層書架だけにとどまらないわけですよ、懸念事項は。

ですから、当然同じように高層書架を配する多賀城市でも、蔵書取り出しや排架による高所作業の問題点は、当然のように当てはまるわけです。更に、多賀城市の場合は 3 階にまで高層書架がある分、危険度は武雄市とは比べものにならないほど高くなっているのではないでしょうか?

[From 新しい多賀城市立図書館と高層書架 #公設ツタヤ問題 - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

CCC は地震によって起きた事象を把握した上で、新しい多賀城市立図書館の建屋の設計・デザインをしているのでしょうか?先のエントリで指摘した吹き抜けに面した高層書架のことや、ガラスを多用した外観などを見ていると、どうにも見た目が優先で安全性や機能面を軽視しているような気がしてならない、と個人的には思うのです…。

[From 新しい多賀城市立図書館と高層書架(に色々と追加) #公設ツタヤ問題 - Soukaku's HENA-CHOKO Blog]

ということで、懸念事項などを幾つかピックアップしておきます。

除籍と選書と郷土資料と…

"TSUTAYA 図書館" の先駆者である武雄市図書館・歴史資料館に関しては、改装のタイミングで追加購入された蔵書 1 万冊のラインナップの酷さが注目されています。
雑誌や新聞だけでなく、テレビのワイドショーでも取り上げられるぐらい注目が集まっているわけですが、これを武雄市だけの話として考えてしまって良いのか、というのが、第一の懸念事項。

本日2015/09/14にテレビ朝日で放送された『モーニングバード』にて、武雄市図書館選書問題が取り上げられたので、それの文字起こしを行いました。番組を観ることができなかった方の参考になりましたら幸いです。

[From 『武雄市図書館“ずさん選書”で反省』文字起こし | 脳無しの呟き《土鍋と麦酒と炬燵猫》]

勿論、新しく購入する文だけでなく、既存の蔵書をどう扱うのかという点も、問題があったのではないかと言われてますね。

その武雄市図書館のリニューアル直前に武雄市が除籍(廃棄)した資料のリストがネットで公開された。その中に郷土資料が含まれ、大量のDVDもあったことから館内に併設されているTSUTAYAへの便宜があったのではないかという疑問の声が上がっている。武雄市はハフィントンポストの取材に対し、除籍基準を開示し、これを否定した。

[From 武雄市図書館が開館前にDVDを大量除籍 「館内併設のTSUTAYAに配慮?」との疑問の声に武雄市は否定]

武雄市も多賀城市も指定管理者は、カルチュア・コンビニエンス・クラブ。
武雄市であったことが、多賀城市では起きない、と言い切れるかどうか、微妙なところじゃないかと思うのです。勿論、以前の批判や失敗に学んで改善しているということであれば良いのですが、TSUTAYA 図書館化が行われようとしている自治体などから公表されている館内パース図を見る限りは、危険性が指摘されている「高層書架」が目に付くわけでして…。


多賀城市立図書館での「多賀城海軍工廠」での検索結果

そういうことから考えると、選書や除籍は問題なく行われるのかどうか、という点にも疑問符をつけざるをえないわけです。

また、図書館の重要なタスクである「郷土資料の収集と保管管理」も問題なく行えるのでしょうか?
武雄市では、DVD などの視聴覚資料の除籍と同時に、武雄市図書館にしか保管されていなかった郷土資料も除籍されたことがわかっています。郷土資料は、後々入手が不可能になるものが多いものであることが多いようで、武雄市が除籍してしまった資料の中にあった「みお」という雑誌は、佐賀県立図書館に合本があるだけとなってしまったのだとか。

多賀城市でも、多賀城海軍工廠のことを地元の有志がまとめた資料や、奈良から平安時代にかけての陸奥国国府に関する研究資料といった、郷土に関する資料が多く蔵書されているようですから、こういったものの価値を正しく評価して、収集・保存・管理を行っていくことが、 CCC に可能なのかという部分については、非常に疑問を持たざるをえない部分です。

また、 平成 23 年 3 月時点で本館で所蔵している新聞 9 紙、雑誌 110 タイトル(本館のみ)の扱いがどうなるのかも、気になる点ですね。([多賀城市] H25-06-07 生学第153号開示文書 H24-03-09 平成23年度第1回市立図書館協議会 資料.pdfの 25 ページ目)
武雄市においては蔦屋書店での販売分との兼ね合いもあったために、所蔵される雑誌が大幅に減らされた(以前蔵書していた雑誌バックナンバーもなくなった?)という話があったのですから、多賀城市でも同じような事態が起きないとも限らないわけです。

また、武雄市や海老名市でも話題となった『中古本購入」の件ですが、多賀城市でも CCC からの提案があったということです。

次にク、資料管理・蔵書購入です。蔵書購入の選書は、各ジャンル専任司書のコンシェルジュが行ない、教育委員会の確認を得てから購入する。また、中古資料を活用することにより購入費を抑え、限られた予算を効率的に執行していきたいというご提案をいただいております。なお、ここで示しております中古資料ですが、これはちょっとくたびれた資料という意味合いではなく、新古書をイメージしていただければよろしいかなと思っております。

[From 平成26年 多賀城市教育委員会第4回臨時会会議録]

蔵書構築の関係で、どうしても中古市場にしかないものを購入しなくてはいけないという状況については致し方なしだとは思いますが、図書館は基本的には新刊を入手するという形で蔵書の整備を進めてきて、出版業界とも折り合いをつけてきたのではないかと思うのです。勿論、予算を効率的に使うことは考慮すべきポイントだとは思いますが…。
作家の中には、「図書館があるから、本が売れない」と主張される方も居るわけですから、図書館自らが攻撃される材料を作る必要はないのでないでしょうか?

地元の期待は?

さて、地元では新しい図書館をどのように捉えているんでしょう?
この点に関しては、あまり「地元の声」というものが聞こえてきていないこともあって、正直なところ良くわからないのですよ。

つい最近聞いた話としては、

  • 若者 → スタバは嬉しい、CD/DVDレンタルがないなら蔦屋書店はイラネ or 無関心
    • 近い GEO より、車で片道 30 分かかっても TSUTAYA に行くほうがいいので、TSUTAYA が欲しい…
  • それ以外 → 一部、危うさに気づいている人たちは居るが、大半は「町おこしになれば…」という雰囲気
    • 反対運動はあったものの、うまく活動できず尻すぼみに終わったらしい
    • 有志のお話し会が解散したという話を聞いている
  • 市の広報などでも外観は紹介されるけど、内部に関する情報は出てきていないような → 一部の反対勢対策で情報を小出しにしていた可能性もあり、高層書架のことなどは知らない人多数では?

ということだそうです。

このあたり「実際、こうだったよ〜」とか「こんな話もあった」というのを、教えて頂ける方がいらっしゃいましたら、このエントリーへのコメントなどでお知らせいただけるとありがたいです。
実際、自分が広報多賀城をチェックした限りでは、モノクロのパース図が載っているのが 1 回あっただけで、それ以外は館内がどうなるのかといった情報は、行政から積極的に発信した形跡はないように思われます。

情報を出しし渋るような傾向は、武雄市や海老名市でも見られることのようで、CCC が指定管理者として入り込んだ自治体での共通事項になっているような気がしますけど、どういうことなんでしょうね。

ちなみに、多賀城市内にあった TSUTAYA は、津波被害で閉店となったようですが、企業努力で早いうちに再出店出来たんじゃないかとも思うんですけど…。

参考情報

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コメント(4)

みきお 返信

んだがら、多賀城でも中古の本が沢山入ってきていて、武雄や海老名と同じになってはあんべ悪いってんで、CCCの社員と市役所の職員とで、一冊一冊調べては捨てたり、所蔵にしたりしてんだと。 休館のお知らせは配られてっけど、間にあわねんでねぇ~がって話し。 これからバイトの人たちを安いバイト代で雇って大人数にするらしいんだけど、肝心の本の準備が間にあわねって。CCCイライラして、女の子達の前でも、平気で人事の話をしてて、変な組織らしいよ。どっかのHPで、わたしたちは、図書館に関してはド素人ですから、なんて今さら平気で載せるような集団だからねぇ~ 多賀城の女の子達、可哀そうだよぉ~ん

みきお 返信

 先々週の土曜日、行ってきたよ。 でっかいおばちゃんがカウンターで一人踊ってた。 調べたら、新館になった時の館長になる人で、前職は多賀城の小学校の校長やってた人だって。 だけど図書館のことは何も分からない感じ。 カウンターで働いていた女の子達、困ってた感じ。 あみんな忙しいのに、邪魔ばっかりしてるんだもの。 それにスゲーうるさいの。 声でっかいし。 ここ図書館なんだけどなぁ~ あのおばさんが館長になるんだったらツタヤの皆さん、やりたい放題できるなぁ~!!! 素人をトップに立てて、ツタヤは安泰ってが?!

みきお 返信

行ってきたよー!
東北の冬、舐めてんのー?!
あんな吹き抜けの建物、暖めるのになんぼ光熱費かかると思ってんの?
CCCさん、負担できるのー?

お姉ちゃん達は通年ワイシャツに薄手のベストだっていうし、東北の冬は寒いんだよ!
お姉ちゃん達風邪ひかせないようにするには、かなり暖房ガンガンにしねっけねー!

それでも、1階はスースーすっぺし、3階はもわもわなっぺし、
多賀城の冬だって、朝の最低ー4℃くらいになるんだからねー!
日中だって0℃にならない日だって、あんだからねー!

そんでもって、朝の9時~10時頃まで開館すんでしょー!
寒くてわがんねねぇー!
暖房費ばっかかかるねぇー!

それから、みんなが投稿してる写真、蔦谷書店の写真ばっかりだねー!
キレイなところ撮りたいのはわがっけど、本屋撮ってどうすんの?
図書館の写真てあんまり載ってないねー!
俺の身長で下から4段目くらいの棚を見ようとすっと、上からのスポットライトまぶしくて
背表紙、見てらんねぇーからねー!

じんちゃん、ばんちゃんの身長だったら、3段目くらいまでしか見れないんでないの?

おまけに帰り際、出口のところでオバチャン達が話してたの聞いてたんだけど、
オバちゃん達がこの場所に本当に欲しかったのは、スーパーマーケットだったんだって!
近くのマンション、高齢化が進んで、買い物難民が大勢いるんだって!
ばあちゃん、腰曲げて、買い物カートにしがみついて、腰痛い痛いって
言いながら離れたスーパーまで行くの、そろそろ限界らしいよ。
「本屋なんかより、スーパーマーケット欲しかったわよねー」ってさ。
「ウチは子どもだけでビデオ借りに行くの禁止っていっているのに、図書館に行くって
言われたら、ダメだといえないでしょ~ 困ったわぁ~」だってさ。

市のお役人に聞かせたかったねー!!!

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